技術的な課題はあるが、10年以内には実現したい

【田中】この世界観は何年後に実現されるのでしょう。行政の特別区などでは実現しやすいのではないでしょうか。

【下】自動運転の技術的な課題はもちろんありますが、10年以内には実現したいです。

【田中】「フラットフォーマー」ではCASEをどのように実現されていくのでしょうか。まず「Connect・繋がる」では、何を狙っておられますか。

【下】私たちの直接的なお客様はトラック事業者様やバス事業者様ですが、その先にはサービスを必要としている生活者がいらっしゃいます。生活者と我々メーカー、一緒にサービスに取り組むパートナー、すべてが繋がることが一番大きなポイントです。

【田中】「Autonomous・自動化」はいかがでしょうか。

【下】労働人口の減少によって、すべての業務を人に頼ることができなくなることが一番大きな理由です。自動化により効率が良くなる、品質が均一になるというメリットもあります。

トヨタと共同で発表した、大型トラックの燃料電池構想

【田中】「Sharing・シェアリング」については、フラットフォーマー自体が一つのものを一社で使うのではなく、色々な業種間や事業間でシェアリングする仕組みですよね。

【下】はい。モノを運ぶ・商品を販売する・リサイクルをするなど、多種多様な業種・事業で利用できるシェアリングの仕組みは今までにはなかったコンセプトです。

具体的には、街において移動が必要なあらゆるもののシェアリングを考えています。街の流れを24時間で見たときに、移動が必要なものは、時間帯によって違います。朝であれば、新聞配達の人もいれば、通勤・通学、ゴミ収集もあり、移動販売車も必要です。その時間帯に応じてサービス、移動を使う方々を、一つのフラットフォーマーが最大効率で貢献できるという姿は、想像しただけでもすごく楽しみです。

【田中】最後に「Electric・電動化」にかける思いについて伺わせてください。

【下】今日本の一年間の物流を、トンキロベース(1トンの物を1km運ぶことを1トンキロとする)で言うと、4000億トンキロほどの総量だと言われています。そのうち半分以上をトラックが担っています。ですからCO2の問題には、真正面から取り組まなくてはいけません。

下義生社長

その中でも排出量が大きいのは、距離が長い大型トラックです。我々は、この大型トラックにも現実的なソリューションとして、ディーゼルエンジン車よりも15%ほど燃費の良い、ハイブリッドの商品を提供しています。とはいえ単一商品の技術だけでは限界があるので、弊社が設立している新会社NEXT Logistics Japanで取り組んでいるような物流効率化とセットで進めていきたいと考えています。

その先には、完全バッテリーEVや、先日トヨタと共同で発表した、大型トラックの燃料電池の構想もあります。環境問題にはあらゆるチャレンジをしないと対応できませんし、私たちにとって、安全と環境は最大の使命だと考えています。