日本の財政は火の車だ。モルガン銀行(現・JPモルガン・チェース銀行)元日本代表の藤巻健史氏は「自民党総裁選が行われたが、政治家は誰も財政問題を語ろうとしなかった。無責任にも、臭いものには蓋をしているようだ」という――。
自民党両院議員総会で、壇上に上がる(左から)岸田文雄政調会長、新総裁の菅義偉官房長官、石破茂元幹事長
写真=時事通信フォト
自民党両院議員総会で、壇上に上がる(左から)岸田文雄政調会長、新総裁の菅義偉官房長官、石破茂元幹事長=2020年9月14日午後、東京都港区

財政問題を語る政治家はどこにもいなかった

将来の首相を決める自民党総裁選で、どうして、どの候補者も、現在の日本の財政危機、日銀危機に触れなかったのだろうか? コロナとともに、最大の国難であると思うのだが。

臭いものには蓋か? 国民の目を逸らすためか? 回避不可能だから、国民には知らしむべからず、なのか? それとも政治家が経済・金融をわかっていないせいか? はたまた能天気のせいだろうか?

安倍晋三前首相の病状がどの程度だか知る由もないが、首相の座を降りたのは、年末にかけて行われる来年度の予算編成に向けてストレスが極限化したせいではと邪推している。

総裁就任前に出演したテレビ番組で菅総理が「行政改革を徹底して行った上で、消費税は引き上げざるを得ない」と発言した。一晩で撤回したものの、官房長官として安倍氏のそばにいて、財政の厳しさを痛感したが故ではなかろうか?

麻生太郎財務大臣や麻生派の河野太郎氏が出馬しなかったのも、財務省から、財政の厳しさについて十分なレクチャーを受けていたので、貧乏くじを引くのを回避したせいではなかろうか?(賢明だと思う) それほどに財政は逼迫ひっぱくしている。