日本屈指のスタートアップであるプリファードネットワークスは、人工知能(AI)開発で国内最先端を走る。そんな技術者集団は、会社の行動規範の筆頭に「熱意(モチベーション)」を掲げている。創業者の岡野原大輔氏は「『これをやってくれ』と言われてこなすような仕事では、期待を超える成果を出せない」という――。

※本稿は、西川徹・岡野原大輔『Learn or Die 死ぬ気で学べ』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

技術の背景
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共通認識や価値観は文字にしたほうがいい

プリファードネットワークス(以下、PFN)の設立は2014年だ。当初は会社の行動規範やバリューを決めていなかった。

PFI(PFNの前身。プリファードインフラストラクチャー)のときに決めた行動規範はあったがそれから数年経ち、社員も増えた。PFI時代から変わらぬ目標は、「最先端の技術を最短路で実用化すること」だ。

新しいメンバーにとっては、PFNがどういう価値基準や判断基準で事業を行っているのかわからなくて困るケースも増えてきているように見えた。我々皆が漠然と頭の中で思い描いてはいるが、明確なかたちに表現できていない共通の意識や価値観をここで一度文字にしておいたほうが、もっと動きやすいのではないかと考え、行動規範を明確に定めた。

トップダウンで決めたわけではない。2018年当時の社員全員にワークショップに参加してもらった。まず我が社がどのような行動規範を持つべきかを小グループに分かれて議論し、その結果をリーダーたちが持ち寄ってまとめ、最終的に経営陣で決めた。