クラスでもカーストの高い女子が派手メイクを発信
普段しないメイクに挑戦したい女性は、15~19歳でも1割強にすぎない。高校生なら1クラスに2~3人だ。しかし、その2~3人の発信力を甘く見てはいけない。
「普段しないメイクを楽しみたいと考えているのは、おそらくクラスでもカーストの高い女子たちです。彼女たちをマネて、今後、チャレンジメイクを楽しむ女の子が増えていく可能性があります」
では、自粛期間中に10代の女の子たちが楽しんだチャレンジメイクには、どのようなものがあるのか。実際に流行したものを、松野氏に紹介してもらおう。
「今年の5~6月に流行ったのが『涙メイク』です。これは2019年夏ごろから人気が高まっていた中国メイクの手法の一つで、中国のコスメブランド『ZEESEA』のマスカラを使用します。このマスカラにはラメが入っていて、まつげに塗るとキラキラ光ります。それが泣いたときにまつげが涙で濡れて光る様子に似ていることから、涙メイクと呼ばれています」
「手法自体は自粛前からありました。ただ、学校にしていくには派手すぎて、街で涙メイクをしている子はあまり見かけませんでした。一方、家でするなら、先生に小言を言われたり知らない人にじろじろ見られる心配はありません。そこで自粛期間中に涙メイクをした姿をセルフィーで撮って、SNSにアップする若い女性が続出しました」
ぶりっ子に憧れて「地雷メイク」へ
ネーミングに強烈なインパクトがあるのは、「地雷メイク」だ。地雷メイクは、「地雷女」と呼ばれる女性をマネたメイクのこと。そもそもオジサンには、地雷女の存在自体が謎に包まれているが……。
「見た目は可愛いけれど、つき合ってみたらメンヘラ体質で彼氏を振り回す女性を地雷女と呼びます。地雷女は色白で、見た目はか弱い印象を与えます。また、よく泣くので目元は赤い。地雷メイクはその特徴を再現するもので、白いファンデーションを塗り、目のまわりに赤いアイシャドウを引きます」
なぜ地雷女と揶揄されるような女性のメイクをマネるのか。根底にあるのは、ぶりっ子への憧れだという。
「地雷女には、ぶりっ子の側面もあります。じつはぶりっ子の可愛らしさに憧れる女性は少なくありませんが、普段は批判されるのが怖くて、ぶりっ子メイクがなかなかできません。しかし、地雷女というモチーフを使えば堂々とできる。つまり、『本気じゃなくて、ネタだよ』とカムフラージュするために地雷女を利用しているのです」
地雷メイクの流行はぶりっ子への憧れが屈折した形で現れた形だが、スターへの憧れがストレートに表れたメイクも自粛期間中に流行った。「雲メイク」だ。
「頬や鼻に白いアイライナーで雲を描くメイクで、お茶目な印象を与えます。オリジナルは不明ですが、アリアナ・グランデが雲メイクした写真をインスタにアップしたことで、世界で爆発的に広がりました。最近は、実際にメイクをしなくても写真を撮れば雲メイクに加工してくれる雲メイクフィルターも登場。アプリがつくられることからも雲メイクの人気ぶりがうかがえます」