政治主導の実現、行政のスリム化、構造改革……。はたと気づけば、かけ声は変わっていない。なぜ「改革」は進まないのか。その恩恵を受けているのは誰なのか──。
<strong>加西市長 中川暢三</strong>●1955年、兵庫県加西市生まれ。79年信州大学経済学部卒業、鹿島建設に入社。在職中の2001年に参院選(東京選挙区)、退職後は02年長野県知事選、03年大阪市長選に立候補するが、いずれも落選。05年加西市長選で現職市長を破って初当選。07年議会の不信任で失職したが、出直し市長選で再選。
加西市長 中川暢三●1955年、兵庫県加西市生まれ。79年信州大学経済学部卒業、鹿島建設に入社。在職中の2001年に参院選(東京選挙区)、退職後は02年長野県知事選、03年大阪市長選に立候補するが、いずれも落選。05年加西市長選で現職市長を破って初当選。07年議会の不信任で失職したが、出直し市長選で再選。

自治体の財政は厳しい。だから全国で「改革」が進められている。兵庫県の加西市では、民間出身の市長が、大胆な「職員の外部化」を進めている。

中川暢三市長は05年7月に現職市長を破って初当選。07年5月、議会の不信任で失職したが、出直し市長選で再選した。現在2期目。新卒以来、鹿島建設に23年間勤務し、在職中の01年には参院選、02年には長野県知事選挙に立候補した経験をもつ。就任後、まず取り組んだのが職員の意識改革だという。

「いつも『気づきと行動のある職員になってほしい』と言っています。市民の声に耳を傾けるという姿勢が身につけば、自ずと解決策は見えてくる。問題点を感じたら行動すること。それを漫然と見過ごし、放置し、先送りすることは不作為であり、許されません」

市役所の至るところには「子供にツケを回さない」との看板がある。注意を喚起させる黄と黒の配色で、よく目立つ。

加西市の実質累積債務は、就任前から減少を続けている。ピーク時の04年度末には655億円あったが、09年度末には496億円と159億円が減少。市はホームページに刻々と債務が減る「借金時計」を掲示して、成果を示す。

中川市長は、債務減少の背景として人件費の圧縮を挙げる。現在、市職員のうち正職員は331人、臨時職員は235人(病院と消防を除く)。一方、5年前は正職員は404人、臨時職員は112人だった。臨時職員の比率が4割以上となった結果、人件費は約5億円減り、歳出に占める構成比も17.8%と2.5ポイント減った。