赤羽一嘉国土交通相は15日、「トラブルを最小限にするため、航空会社は搭乗前にマスク着用の有無の確認や、着用できない理由の聴取などを徹底してほしい」と述べた。この発言を見る限り、国の立場としては、マスク着用の是非について引き続き「乗客へのお願いや確認」だけで済まそうとする考えがうかがわれる。

ビジネス渡航を徐々に増やす方針だが…

新型コロナの感染が広がり「水際対策」が始まって以来、外国人の日本入国は一部の例外を除いて不可能な状態が続いている。

しかし、外務省は8月下旬になって、特定の国との間で双方向の往来を再開する「レジデンストラック」を徐々に認めはじめた。外務省の説明を借りると、「ビジネス上必要な人材等の出入国について例外的な枠を設置し、現行の水際措置を維持した上で、追加的な防疫措置を条件とする仕組みを試行する」と定義付けられている。したがって、以前のようにインバウンド観光客が押し寄せてくるという状況がすぐさま起こるのではないものの、今後は徐々に各国のビジネスマンが所定の手続きやPCR検査を済ませた上で訪日する動きが出てくることになる。

往来先のほとんどが罰金規定を設けている

では、「レジデンストラック」を認めるに当たって、先行して行き来を再開する国々における現地国民向けのマスク着用ルールはどうだろうか。調べてみた結果は次のとおりとなっている。

・タイ(7月29日)…基本的に義務、地域によって2万バーツ罰金
・ベトナム(7月29日)…着用義務あり、状況によって10万~30万ドンの罰金
・マレーシア(9月8日)…着用義務あり、未着用は1000リンギットの罰金
・カンボジア(9月8日)…奨励のみ
・ラオス(9月8日)…義務、違反事例は警察など当局が既存の法律を応用して対応
・ミャンマー(9月8日)…着用義務あり、5000チャットの罰金
・台湾(9月8日)…着用義務あり、最大で1万5000台湾ドル

※()内の日付はレジデンストラックの施行開始日。各国の報道から筆者作成

「レジデンストラック」で行き来が始まる7カ国のうち、カンボジアを除く6カ国はいずれも「公共交通機関におけるマスク着用は義務」と明文化されており、うち4カ国は該当国内で統一された罰金規定が設けられている。

では日本について、外国のウェブサイトが査定している「マスク着用に関する法的ステータス」は、「着用が推奨される(recommended)」と表現されているにすぎない。一方、罰則規定を伴う法整備ができている国については「着用を命じる(required)」と明記されている。