肉屋を応援する豚

自分本位で生きる「働かないアリ」になるためには、聞き分けがよすぎるとダメだ。

たいていの日本人は聞き分けがいい。

「肉屋を応援する豚」という言葉が最近のマイブームだ。

いつか自分が殺されてしまう状況の豚が、肉屋の営業を心配してしまい、最後には屠畜とちくされる話だ。

自分は関係ないと思うかもしれないが、この状況をそこかしこに見かける。

残業代を支払わない企業や、年金資金が足りない日本政府などが肉屋の例だ。

本来は「お金をくれ」と言うべき立場の人が、「まあ、みんな大変だよね」と聞き分けをよくして許してしまっている。

しかし、後になって苦労するのは自分たちだ。

みんな給料を上げてほしいと思っている。でも、言えない。

そんなふうに空気を察していると、やがて自分がやられる。

「聞き分けのいい豚になっていないか?」

それをちょっと考えてみてほしい。

世の中、実力がハッキリと数値化される仕事は、そんなに多くない。

たとえば、あなたがファミレスの店員だとしよう。

働くのがだるいから手を抜いて働きたい。でも、クビにはなりたくない。

その場合の戦略は、他の店員たちと仲良くなって、「この人をクビにしたら私も別のとこに行きます」という派閥を作ることだ。

大して働いていないけど、まったく働いていないわけじゃない。だから、クビにするほどではない。

そんなポジションになるのだ。

1週間宿代ゼロで暮らす方法

ある有名な外国人タレントは、タクシー代を値切っていると言う。

「タクシー代なんて値切れるの?」と疑いたくなるが、じつは値切れる。

1万5000円くらいの料金の距離では、「1万円しかないんですが、それで行ってくれないか?」と交渉するらしい。

ホテルに泊まるときも、「1週間ほど泊まりたいんだけど、2割引きにしてもらえないか?」と言うそうだ。

外国人ですら、日本でそのような値段交渉をしているのだから、日本人にできないわけがない。これも「1%の努力」の好例だろう。

あるいは、あなたは交渉をしたり、お願いをしたりすることはできるだろうか。

「1日泊めてくれない?」

そう頼める友人が7人いれば、1週間も宿代ゼロで暮らせる。お土産を持っていかないといけないと思っているとすれば、働かないアリにはほど遠い。

ひろゆき『1%の努力』(ダイヤモンド社)
ひろゆき『1%の努力』(ダイヤモンド社)

僕くらいになると、友達の家に他の友達を呼び、「飲み会をやろう」と言って、食べ物やお酒を持ってきてもらう。宿代だけでなく、飲食代もタダにしてしまう。

「そんなことできない」と言われるかもしれないが、ヒッチハイクと同じで、こんなものは「慣れ」だ。

あるいは、財布もスマホも持たずに街に出て、24時間を過ごせるだろうか。

人間だって動物なのだから、犬や猫や鳥のように、体一つで外に出て生きていけないわけがない。本屋で立ち読みをしたり、公園で植物を見たり、野宿したりして過ごせるはずだ。

そうやって実験的にホームレスをしてみると、精神的に強くなれる。

一度やってみると、案外、何もせずにうまいこと生きられることが実感できるだろう。たくましく、しぶとく生きるコツでもある。

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