新型コロナは、変化を促す契機になった

小売業で最も新型コロナウイルスの影響を受けて変化が起ころうとしているのがコンビニエンスストアです。その理由は大きく3つあります。

1つ目は立地戦略です。コロナ以前から飽和状態にあったコンビニが、都市計画法上、住宅地への出店が難しかったこともあり、ここ数年はオフィス街や商業集積地への出店を強化してきました。その戦略が、コロナの外出自粛やテレワークなどの影響で裏目に出た。オフィス街や商業地にある店舗は特に厳しい状況に置かれています。

2つ目は、新型コロナが24時間営業を見直す後押しになったことです。これまでは、本部にとっても加盟店オーナーにとっても、24時間営業が当たり前と考えられてきました。なぜなら、コンビニは24時間営業前提でバリューチェーンが組み立てられており、24時間営業をやめれば、本部も加盟店も収入が減ってしまうのは目に見えているからです。ところが、コロナの影響で深夜帯の来店客が減少する中で、「24時間営業しなくてもいいのでは」と気づいたオーナーが増えているのです。

実際、ファミリーマートは2020年6月から全店の約5%で24時間営業をやめました。これはコンビニでは画期的な出来事です。この背景には、人材不足もさることながら、加盟店オーナーの高齢化があると推測します。例えば、セブン-イレブンのオーナーの平均年齢は53歳。同社は15年契約なので、もし53歳で更新した場合、68歳まで続けることになります。その間、果たして24時間営業を継続できるでしょうか。ファミリーマートの決断は、高齢化なども踏まえ、オーナーの価値観が変わってきていることを示唆しています。新型コロナは、その変化を促す契機になったと思います。