開始1カ月で売り上げ1000万円超えの「デジタルキャバレー」
2016年から日本でもホストによる体験プログラムを提供してきた民泊仲介世界最大手の「Airbnb(エアビーアンドビ―)」も、4月から「オンライン体験」を開始し、世界中のホストがアイデアあふれるプログラムを提供している。
ポルトガルのホストがデジタルキャバレーを舞台に、本格的なサングリアのレシピを手ほどきする「ドラァグクイーンのサングリアと秘密」は、開始1カ月で売り上げが1000万円を超える大人気プログラム。ニューヨーク州の動物保護区から中継する「保護されたヤギと遠隔でふれ合おう」は、異国の草原を舞台にした動物との何気ない日常が人気となっている。その気になれば、毎日異なる国を体験するバーチャル世界旅行も可能だ。
日本のホストが提供するオンライン体験では、「僧侶と瞑想」体験のレビュー数が最も多い。大阪で20年近く活動するフリーランス(特定の寺に属さない)僧侶が、2年前から約4000人のゲストに提供してきた人気体験プログラムだ。4月にオンライン化すると、3カ月で800人以上が参加した。1時間の体験料金は1500円。体験に入る前に禅や呼吸法の歴史や意味を説明、双方向で質問にも答えるので、初心者でも入りやすい。
瞑想体験はまずはゆっくりとマントラを唱えることからスタート、徐々にスピードが上がっていき、参加者の気分も高揚していく。座禅を組む姿勢の指導や「人が考えていることの9割が過去の失敗」といった説法もあり、終わった時には日常生活から無の境地にたどり着いたような開放感を覚えると、参加者は口をそろえて言う。
伝統文化体験に日本人が足を踏み入れるきっかけになった
リアルの体験イベントでは外国人観光客が対象だったが、オンラインでは何割か日本人の参加も見られるようになった。外出自粛でストレスがたまり、ヨガ教室と同じような感覚で、その解消を求めて参加したのかもしれない。伝統文化体験に日本人が足を踏み入れるきっかけになったことも、オンライン体験ならではの新しい現象だ。
「本当に面白い旅先での出会いは、対面だけではなく、オンラインでも可能だと考えています。通常の旅ができるように戻るまで少し時間がかかるかもしれませんが、収束後のタイミングで、オンラインで出会った街や人の魅力に、今度はリアルに繋がることができるはずです」(Airbnb日本法人の松尾崇広報部長)。