このコロナ禍で世界各国のGDP(国内総生産)は軒並みダウンしました。例えばアメリカでは、米連邦議会予算事務局(CBO)が20年4~6月期のGDPをマイナス38%と見通しを立てています。日本の同時期のGDPも、日本経済研究センターが予測機関の数値をとりまとめ、概ね、マイナス21%という予測を示しています。かなり深刻な不況を覚悟しなければなりません。

世界恐慌の再来!各国で軒並みGDPダウン予想

緊急事態宣言が終わり、経済を再開させつつありますが、感染をしっかりと抑え込まないうちに段階的に経済を再開させてしまうと第2波が起こり、ウイルスとの闘いは長期化します。そのほうがダメージは大きくなってしまいますが、このまま経済活動を停止し続けるわけにもいかないので仕方ないという判断でしょう。

よく「命を守るほうが先か、経済の復興が先か」という対立がありますが、実は経済はとても大事なんです。経済が悪くなると、今度は自殺者が増えます。バブル崩壊後には年間自殺者が一気に1万人増えたのです。経済による死者を少なくするためにも、経済を大幅に悪化させない措置が必要です。

先の見えない状況ですが、このコロナ禍を経て日本も再び世界の先頭に立つ方法が2つあると思っています。

日本が再び世界の先頭に立つには

1つ目は、死亡者を総じて低く抑えることができたアジアの中で新しい地域協力を呼び掛けることです。アジア全体で検査基準や感染者の追跡方法、隔離方法を確立するのです。まずは、そのようにして信頼できるようになった地域についてのみ、人の行き来を再開させます。

そうすると、もともと深く統合されていたアジアの経済は早期に回復してくる。さらにはアジアが牽引力になって、世界全体の経済危機を救うことにつながるのです。そういった呼び掛けを日本が主導で行うことが、実は重要な外交戦略になります。

2つ目は、20年5月に参院本会議で自民、公明、維新などの賛成多数により可決されたスーパーシティ構想を活用し、生活をデジタル化していくことです。スーパーシティとは、人工知能(AI)やビッグデータなど先端技術を活用し、自動運転や完全キャッシュレス決済、ドローン配送、行政手続きのワンスオンリー化(1度提出した資料は、再提出する必要がない仕組み)、遠隔教育や遠隔医療など複数の分野にまたがってデジタル化を推進する最先端都市のことです。

全国民に一律10万円を給付する「特別定額給付金」をめぐって大混乱が起こったのは、デジタル化途上でマイナンバーがきちんと機能していないのが原因です。マイナンバーに紐づけられた銀行口座があればスムーズに給付ができましたが、現状そのようになっていないので人海戦術を余儀なくされました。

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