触媒を活用して上司を説得しよう

これらを前提に、ビジネスシーンで、触媒を活用する方法を紹介します。まずは「上司の説得をする」シーン。上司のタイプによって使う触媒は異なり、「上昇志向型」の上司には、成長の習慣に該当するダム型の触媒を用います。彼らは成果が積み上がっていくのを好むからです。「(上司が)目指している売り上げの◯◯%を◯◯までに達成します」など、感覚ではなく数字で明確に示すことで、上司はグッとくるでしょう。

一方で、「危険回避型」の上司には、不満解消の習慣にあたるセレモニー型、不快解消の習慣にあたるコンフォート型の触媒を使うのが良いでしょう。上司の機嫌が良さそうなときを狙って、心地よく感じる場所で話をするなど、状況や環境を選ぶとともに、より良く整えておくのが大事です。また、上司を安心させる目的で、他社の成功パターンや事例を示すのも手でしょう。1度うまくいったことは、そうではないことと比べて、次も成功する可能性が高いからです。

プレゼンには黒い服を着ていけ

続いて「プレゼンで成功する」シーン。ミント型のアイデアから紹介します。まずはプレゼン前に気合が入る曲を聴くこと。こちらはミント型とセレモニー型のミックスでもあります。プロレスラーなど格闘技の選手がリングに上がるとき、毎回入場曲がかかりますよね。あのイメージです。私の場合は、音楽配信サービスの「テンションが上がる音楽」プレイリストからランダムに聴くことが多いです。

プレゼン本番には、「黒い服」を着て臨むこと。新型コロナウイルスの影響を受けて、オンラインでプレゼンをする機会が増えてから、服装を気にしなくなる人も出てきましたよね。でも、プレゼンで勝ちたいなら、聞いている人に「説得力」を感じさせる黒を選んでください。 私の経験では、同じことを話しても印象がまったく違います。

話し始める前、参加者に「エナジードリンク」を配り、飲んでもらうのもひとつの方法です。冒頭で「今日の私のプレゼンは約◯◯分と、とても長丁場になります。長時間聞いていただくのが大変申し訳ないので、エナジードリンクをご用意しました」と言って全員に配布した――これは実際にあった話です。

ドリンクを受け取った側はリラックスできますし、「この◯◯分にこの人はここまで情熱を注いでいるんだ。大事な◯◯分なんだ」と感じ、より真剣に聞こうと思うものです。「よし、それならちゃんと聞こう」とスイッチが入りやすくなります。エナジードリンクの代わりにお菓子を配るケースもありました。

プレゼンとは一見関係のないエナジードリンクやお菓子だからこそ、触媒としての効果を発揮することが考えられます。