反旗を翻す役人たちが続々現れている

再登場してからは、前回の“反省”を踏まえ、官僚の人事権を官邸が握り、日銀、NHKに自分の傀儡を据え、電通をこれまで以上に優遇して、マスコミをコントロールさせたのである。

野党、特に第1党の立憲民主党の枝野幸男代表のだらしなさもあって、選挙戦を勝ち続け、一強とまでいわれるほどの強力な政権をつくり上げた。

だが、かつて自民党のプリンスといわれ、斡旋収賄罪で実刑を受けたにもかかわらず、当選を続けている“無敗の男”中村喜四郎衆院議員が安倍政権を評してこういっている。

「安倍政権の一番の功績は、国民に政治を諦めさせたことだ」

だが、さすがの安倍政権にも最後の時がきたようである。それを示す動きは、先に書いた河野防衛相の叛乱はんらんのほかにいくつもある。

週刊ポスト(6/12・19号)が「霞が関クーデターの全内幕『さよなら安倍総理』」というタイトルを付けてこう書いている。

このところ、安倍に反旗を翻す役人たちが続々現れているのは、安倍の最後が近いからだというのである。

記者たちとの賭け麻雀が明るみに出て、黒川弘務東京高検検事長が処分されたが、「訓戒」というあまりにも軽い処罰に、批判が巻き起こった。

すると安倍は、これは稲田伸夫検事総長が行ったのだと逃げようとしたが、早速、共同通信が、法務省は懲戒が相当と判断していたのに、官邸が訓告にしたとすっぱ抜いた。

さらに、当の稲田検事総長がTBSの単独インタビューに出て、自身の処分への関与を否定したのだから、前代未聞の事態である。

次に暴かれるのは「桜を見る会」の名簿か

安倍が肩入れして、早く承認しろとごり押ししていた新型コロナウイルスの治療薬「アビガン」だが、厚生労働省が、副作用などのこともあり、早期承認には反対していた。

これも共同通信が、「明確な有効性が示されていない」と報じ、5月中の承認は断念するに至った。これは厚労省側からのリークだといわれているそうだ。

やはり安倍が押し進めようとしていた「9月入学」も、文部科学省が、家計の負担が3.9兆円にのぼるという試算を発表し、見送りになった。

これまでなら「忖度」という2文字でいいなりになっていた役人たちが掌を返し、安倍を追い落とせとばかりに攻勢をかけているというのである。

次に暴かれるのが、安倍と妻の昭恵が招いた、「桜を見る会」の招待者名簿ではないかと、週刊ポストは書いている。これは、機密指定されてはいない資料だから、官邸は破棄したといっても、どの役所も名簿を持っているというのである。これをメディアに流せば、安倍はご臨終というわけだ。