それが禅につながる「洗心」。つまり心を洗うことです。

洗心の方法は心を空っぽにすること。代表的なものとして坐禅が挙げられますが、少々ハードルが高いという人もいるでしょう。

時間を忘れて何かに没頭すればいい

洗心するには、なにも、かしこまって坐禅を組まなくてもいい。時間を忘れて何かに没頭すればいいのです。たとえば絵を描いたり、ピアノを弾いたり、時間を忘れて集中して趣味を楽しむ。ヨガや太極拳なども楽しいでしょう。

同じ動作を何度も繰り返し、心を空っぽにする。それが心を整える時間になります。たとえば剣道や野球の素振りをしたり、書道の墨をすったり、仕事道具の手入れをするなど、無心になって同じ作業を繰り返す。そのうち何も考えずに手だけが動くような状態が理想的です。心理学的にはゾーンに入る、フロー状態というように言われている状態です。

仏教では「三昧さんまいにいる」と言います。「読書三昧」など、一心不乱に何かをすることを「三昧」といいますが、これはもともと仏教に由来する言葉で、心が一定の状態にあることを指します。

感染症や自然災害の脅威のなかにいても、私たちは常に「洗心」を心がけましょう。思いやりや愛、やさしさや幸せ、喜びなどと同じように、穏やかな心は広く伝播し、共有できると思います。

(構成=花輪えみ 撮影=南方 篤)
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