韓国ドラマ「愛の不時着」が大ヒットしている。「韓流」がここまで話題になるのは久々だ。これまでの作品とどこが違うのか。重要なポイントは「韓国人も知らなかった北朝鮮のリアルな暮らしぶりが描かれている」という点だという。ジャーナリストの中島恵さんが解説する――。
韓国人女性と北朝鮮人男性のロマンスを描く「愛の不時着」
画像=Netflixオリジナルシリーズ「愛の不時着」ワンシーンより引用
韓国人女性と北朝鮮人男性のロマンスを描く「愛の不時着」

韓国では「歴代1位」の高視聴率を記録

最悪といわれる日韓関係だが、なぜか今、日本で韓国ドラマ「愛の不時着」が大人気となっている。一般人だけではない。芸能人やプロスポーツ選手、アナウンサー、ジャーナリストなど、ファン層は従来の韓流ファンよりも幅広く、興味深いことに、その中には「初めて韓国ドラマを見た」という人々も少なからずいる。

このドラマは2019年12月~2020年2月まで韓国のケーブルテレビで放送され、ケーブルテレビとしては異例の高視聴率を叩き出し、歴代1位の快挙となったことで注目された。

ストーリーは、韓国の財閥令嬢がパラグライダーの事故で北朝鮮に不時着してしまい、そこでかくまってくれた北朝鮮のエリート将校と恋に落ちる……というもの。“あり得ない”設定ながら、ストーリー展開のおもしろさと、俳優陣の名演技にグイグイ引き込まれ、「ヒョンビンロス(主役の軍人を演じるのが韓国の人気俳優、ヒョンビンであることから)」「不時着沼」などという言葉もSNS上にあふれている。

日本では現在、動画配信サービス「Netflix」(ネットフリックス)でのみ視聴することができる。BSなどで放送されているわけではないので「全然知らない」という人もまだいると思うが、同配信サービスでは2月以降、3カ月以上もトップ10以内にランキングするなど、異例の人気ぶりとなっている。新型コロナウイルスの影響で巣ごもり生活をする人が多いという事情もあるとはいえ、久々に韓国ドラマが日本で人気を得ている理由は何なのか。探っていくと、意外にも「北朝鮮の日常生活に関心を示す人が多い」ということが分かった。