次の主戦場はデータ経済圏

データ・ドリブン・マーケティングは基本的に、購買に近いデータを持つ部分から取り組みが始まる。このため、自前の小売店やECでの販売を通じて直接データを持てるか、小売りが全部データを持つ構造になっているかによっても、取り組み状況に大きな違いが生じる。

たとえば、先の調査結果の中で、日本は自動車分野の成熟度が低かったが、これは海外企業と比べて、データの持ち方が異なることが影響していると考えられる。日本では製販分離でそれぞれがデータを持っているが、海外は必ずしもそういう構造ではないため、データ活用のしやすさに違いがある。

BCGでは数々のブランドや企業を支援してきた経験をもとに、第1段階から第4段階に至る道筋を通じて、最大で売上高の20%程度の増加、マーケティング費用の30%程度の効率化が可能だと推計している。

ボストン コンサルティング グループ編『BCGが読む経営の論点2020』(日本経済新聞出版社)
ボストン コンサルティング グループ編『BCGが読む経営の論点2020』(日本経済新聞出版社)

ただし、成熟曲線は上昇するにつれて険しくなり、次のレベルへ移行する難易度が増すため、第4段階に達している企業はグローバルで見てもごくわずかだ。したがって、日本企業としては、まずは第2段階から第3段階に持っていき、そこで成功事例をいかにたくさん作れるかに焦点を当てて活動していく必要がある。

こうした中で次の主戦場は「データ経済圏」になるだろう。データ経済圏を活用してアクセスできるデータの幅を広げるには、まずは自社保有データの拡充を目指し、出来る限り消費者と直接つながる接点を持つことが重要になる。このため、最近、日本の消費財の大手企業が集まって、自分たちが直接販売できるチャネルをつくろうとする動きもある。また、セカンドパーティーのデータを流通させるプレイヤーも出てきているので、そうしたデータもうまく紐付けることで多面的な展開が可能になる。

日本企業はデータ・ドリブン・マーケティングの分野で早急にキャッチアップできないと、新たなパラダイムにおいても競争力を失っていく。逆の見方をすれば、どの企業にも一歩抜け出すチャンスがあるということだ。

そのために経営層はまず自社のビジネスを十分に理解し、どの部分を強化すればパフォーマンスが向上するかという「勘所」を押さえる必要がある。その上で、そこにどうテクノロジーを活用するかを考える必要がある。この順番を間違えてはいけない。

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