すでに15以上のプラットフォーム業者がひしめいている

現状、オンライン接客の形態は3パターンだ。

①システムを提供するプラットフォーム業者(以下、PF業者)に各店舗が店ごと加盟
②PF業者がキャバ嬢や素人女性を個別に採用
③店舗が独自に開発したシステムで運営

筆者が調べた限り、①に該当するのは「スマキャバ」だけだが、②には「おんきゃばJAPAN」「ポケパラオンライン」「ズムキャバ!」など実に15以上のPF業者がひしめいている。こちらが主流といっていいだろう。

このことから、オンライン接客は、キャバクラ店のコロナ打開策というよりは、キャバ嬢個人とPF業者のための新ビジネスとも見て取れる。

なおキャバクラだけでなく、ガールズバーもオンライン接客に乗り出している。具体的には、六本木の「RUTILE(ルチル)」、神楽坂の「N(エヌ)」など東京勢が多いが、地方でも仙台や札幌などでわずかに確認できる。

これらは③のパターンで、オンライン接客用のシステムを独自に開発し、運営している。それには相当の投資が必要だ。言い換えれば、ガールズバーの経営者たちが抱いた危機感もそれほどに大きかったのだろう。

39歳男性「私服のキャバ嬢に違和感しかない」

では、オンライン接客の需要はどれほどあるのか。ヒントになりそうな数字は、ポケパラのHPで確認できる。

同サイトが運営するポケパラオンラインは4月27日からスタートしたのだが、そこから5月12日までに関東でオンライン接客が行われたのは「132回」と表示されている。平均して1日約10回のペースだ。ちなみに東海は「82回」、関西で「62回」、九州に至っては「8回」。とても盛況とは言いにくい数字だ。

オンライン接客を体験した男性(39歳)が見つかったので、率直なところを語ってもらった。

「僕に付いた嬢は自宅からZoomで接客してくれたんですけど、正直、微妙でしたね。キャバクラの楽しみって、嬢と会話するだけじゃないんです。キメた髪型だったり、華やかなドレス姿だったり、店の豪華な内装だったり、そういう要素をひっくるめて楽しむものなんです。だから自宅で普通の私服を着てる嬢と話しても違和感しかなくて。あとネットの通信状態が調子悪くて会話が途切れることが何回かあったんですけど、そういうのもストレスでしたね。二度目? いや、ないですね」

さらに男性からは、こんな指摘も。

「僕は独身だからいいけど、オンライン接客って既婚者にはハードル高そうですね。奥さんのいる自宅で嬢とトークなんかしてられませんよ」

キャバクラ客のメイン層は30~40代、つまり既婚世代と言われている。そこをごっそり取りこぼしているのであれば、無意味なのではないだろうか。