そのうえで最後に「お客様もご理解いただけるとは思いますが」と誘導的な言葉を持ってくる。この言葉には、「聡明なあなたがまさか不当な要求をするわけないですよね」という牽制的な意味がある。クレーマー対応のコツは、相手の自尊心をくすぐることにある。
クレーマー対応に慣れていない人ほど理路整然と対応し相手の顔をつぶしてしまう。これではさらなるクレームになってしまう。
強気に要求してくるのは、名前と住所を隠しているから
もちろんこういった対応で終わればいいのだが、解決しない場合もある。
そういうときには「ご納得されておられないことは承知しました。お客様からの大事な御意見ですから上司と相談のうえ改めて書面にて回答させていただきます。御名前と御住所をお伝えください」と回答してみるといい。
③ 名前と住所を尋ね、クレーマー個人を特定する
スーパーでのやりとりは突発的なものばかりだ。従業員としても「その場でお客様に納得してもらわないといけない」と誤解して焦って対応しがちである。お客様から何か意見を受けたからといっても即座に回答できるものばかりではない。
クレーマーからの言いがかりであればなおさらである。責任感のある人に限って「自分でなんとかしないといけない」と考えて泥沼にはまるのがクレーマー対応だ。「自分ではもう無理」と割り切る姿勢も大事だ。経営者としても従業員が無理をしないように注意をしておかなければならない。
スーパーでのクレーマーの特徴のひとつは、氏名や住所といった自分の情報を明らかにしないことだ。あえて自分を不特定多数の客のひとりとすることで強気に要求をしてくる。いわば責任をともなわないからこそなんでも言えるというところがある。
名前と住所は「後日書面で回答するため」
そうであれば発言に責任をもってもらうために氏名と住所を明らかにしてもらうべきだ。氏名などを求めると「もういい」と言って終わるケースも少なくない。「自分」を特定されると困るのであろう。
仮に弁護士に相談するにしても相手の氏名と住所がわからないと書面のひとつも送付できないので迅速な対応ができない。クレーマー対応においては、個人を特定するということが重要になってくる。
さりとて「名前と住所を教えてください」と言っても簡単に教えてくれるものではない。そこで「会社としてきちんと対応するため書面にて回答させていただきます」という姿勢で臨むわけだ。
こうすれば相手としても「なぜ氏名などを教えないといけないのか」と反論しにくくなり諦める。それでもさらに続くようであれば警察や弁護士の協力を求めることも選択肢として持っておくべきだ。