カテキンのもう1つの健康効果は、強力な殺菌作用だ。

「カテキンは、ウイルスと細胞の結合を阻止して感染症を予防します。ほかにも虫歯や口臭を予防し、アレルギー症状を緩和します」(大森氏)

これからの時期に発症が増えてくる「食中毒」の予防にもなる

管理栄養士の望月理恵子氏によると、これからの時期に発症が増えてくる「食中毒」の予防にもなるという。

「病原性大腸菌O157を生理食塩水と緑茶で培養した実験で、生理食塩水では24時間後、菌の数が約1000倍になったのに対し、緑茶のほうは5時間後にはO157が完全に死滅したという報告があります。カテキンがO157の細胞膜を破壊したのではないかと考えられます」

料理に粉茶を振りかけたり、スープに緑茶を隠し味として入れてもいいだろう。「刺し身などの生ものを食べた後に緑茶を飲むことも食中毒予防になる」(大森氏)という。

糖尿病や肥満の予防にも有効だ。

「カテキンを摂取すると、糖質を食べても消化されずに体外へ排出されやすくなります」(同)

カテキンは体を構成する成分ではないため、体内では異物として認識され、排出されやすい。体内にとどまるのは3~4時間という。健康効果を得るためには毎食後などこまめに摂取を。

さて、緑茶に含まれるカテキン以外の、アミノ酸(テアニン)とカフェインにも注目しよう。ここが重要なのだが、テアニンにはリラックス作用、カフェインには覚醒作用と、相反する効果がある。入れ方や緑茶の種類によってそれぞれが多くも少なくもなるため、目的によって使い分けるといい。

まず熱湯で緑茶を入れるとカテキンやカフェインが増加する。反対に、水かぬるま湯で入れると、カテキンとカフェインが少なくなり、うまみ成分であるアミノ酸が多く抽出される。

「緑茶には20種類以上のアミノ酸が含まれ、全体量の5~6割を占めるのがテアニンです。脳はリラックスしているときにα波(脳波)を出しますが、最近の研究ではテアニンを摂取すると、α波が出現する回数や時間が増加することがわかりました。ストレス軽減作用があるといえるでしょう」(同)

また緑茶の種類によっても差が出る。一般的には5月に収穫される「一番茶(新茶)」で製造されたものが「煎茶」や「玉露」に、5月以降に摘まれる「二番茶」(6月中旬)、「三番茶」(7月下旬)などを使って製造されるものが「番茶」とされる。

「茶葉に含まれるテアニンは太陽光を多く浴びると、渋みに影響するカテキンに変化する。そのため一番茶より二番茶、二番茶より三番茶のほうがカテキンが多い」(大森氏)