メディアでは、緊急事態宣言後も外出する若者を批判的に取り上げることが多いですが、実際には現役世代よりも高齢者のほうが、お花見やゴルフ、買い物を楽しんでいるというデータも。なぜ彼らは外出してしまうのでしょうか。マーケティングのプロ桶谷功さんがその心理に迫ります。
2019年4月3日の隅田公園
※写真はイメージです(写真=iStock.com/Eloi_Omella)

花見を盛大に開く70代前半の高齢者たち

こんにちは、桶谷功です。

これまでこの連載では、ハーゲンダッツやカロリーメイトなど身近な商品のCMから、その裏にある企業の商品戦略を読み解いてきました。

今回は新型コロナウイルスによる緊急事態宣言のさなかということもあり、個別の商品戦略の解説からいったん離れ、現在のこのような状況下で、どうやってマーケティングセンスを養っていくかという話をしてみたいと思います。

私は常日頃から、ちょっと気になる行動をとる人がいると、「なぜこの人は、こういうことをするのだろう」と考えるのが習慣になっています。最近気になったのは、緊急事態宣言が出てからも、高齢者が出かけている姿を目の当たりにしたことでした。

私の自宅近くには桜並木があり、花見シーズンになるといつも大勢の人々でにぎわいます。しかし今年は新型コロナウイルスの感染が広まっていたので、花見をする人は少ないのではないかと予想していたのですが、桜の木の下で車座になって本格的な宴会をする一団もちらほらいました。よく見ると驚いたことに、そのほとんどが団塊の世代とおぼしき70代前半くらいの高齢者の集団だったのです。