『「学思」があってはじめて、情報は生きる』

 

思いて学ばざれば則ち殆し

<strong>三菱地所 木村惠司社長</strong><br>1947年、埼玉県生まれ。浦和高校、東京大学経済学部卒。2000年取締役企画本部経営企画部長、05年社長就任。丸の内を中心に「歴史と文化」を発信する街づくりに力を入れる。
三菱地所 木村惠司社長
1947年、埼玉県生まれ。浦和高校、東京大学経済学部卒。2000年取締役企画本部経営企画部長、05年社長就任。丸の内を中心に「歴史と文化」を発信する街づくりに力を入れる。

働く人間全てにとって、土台になるのは、チャレンジする精神です。これがなければ、働く意味がないと言ってもいいでしょう。失敗することを恐れずに進んでこそやり甲斐が生まれます。チャレンジして失敗したとしても、それは、次に成果を挙げるための準備段階だったと思えばいいのです。

私も20代のころに大変な失敗をしましたが、それが後に大きな糧となりました。1回や2回の失敗はして、叩かれても踏まれても、雑草のようにまた這い上がればよいのです。現に私自身、「雑草」と呼ばれたこともありました。

一方、ビジネスは日進月歩の勢いで変化していきます。ふと立ち止まるだけで、変化についていけなくなりかねません。この激動のなかで、チャレンジする精神を持ちつづけるのは、たしかに容易なことではありません。そのために必要なのが、先見力、つまり先を見通す力です。ライバルたちより一歩先を読めれば、優位に立つことができるはずです。気持ちに余裕も生まれます。

日々に激動する現実に、イノベーションをつねに意識して立ち向かう。こうしてチャレンジしつづけます。そのためには、適切な情報を得ることが重要になります。情報を集め、よく理解することは、前進するために欠かせません。情報がないままでの判断は信頼が置けません。

その情報はどこにあるのでしょうか。本や文献、レポート類を細かく読んでも得られないことはありません。しかし、最良最高の情報源は人間です。道がわからなくなったら近くの人に聞け、と言います。当たり前のことですが、迷ったら、これがいちばんのアドバイスです。