韓国人観光客の激減した九州の温泉名所
その中で、わが国の観光業界などでは、新型コロナウイルスの影響により経営が急速に悪化する事業者が増えている。4月10日時点で新型コロナ関連の破綻件数は51件(手続き準備中も含める)に達したと報じられている。業種別にみると、宿泊、飲食関連が多い。
背景の1つには、中国、韓国、台湾などからの訪日者が大きく減少し、インバウンド需要が蒸発したことがある。観光庁によると、2019年の訪日外客数は3188万人だった。うち、韓台中(香港含む)からの来日者数が70%を占めた。
昨年、日韓関係の悪化や中国経済の成長の限界から、これら地域からの来日者数の増加ペースには鈍化の兆しが出はじめた。特に、韓国からの来訪者の落ち込みは大きかった。昨年夏場以降、九州の温泉地面などでは韓国人観光客の減少から、旅館経営などにかなりの影響が出たと聞く。
先行き不安で大手企業の債券発行が見送られるケースも
その上にコロナ禍が重なり、外国人観光客の減少に拍車がかかってしまった。コロナ禍が、グローバル化に依存した経済運営の問題点をあぶりだしたといってよい。観光庁が発表した2月の訪日外客数(推計ベース)によると、中国からの訪日者数は前年同月に比べて87.9%減と大きく落ち込んだ。
その要因として、武漢市を中心に新型コロナウイルスの感染が拡大したため中国政府が海外団体旅行の販売を禁止したことが大きく響いた。同月、韓国からの訪日客数は同79.9%減、台湾は同44.9%減だった。
さらに3月、出入国管理統計(速報)によると、政府の入国拒否対象国の拡大などから外国人の新規入国者は前年同月から9割以上減少した。なお、出入国管理統計には、クルーズ船での来日客は含まれない。
人の往来が途絶え、観光だけでなく、航空大手や人材派遣などを手掛けてきたわが国企業が金融機関などからの資金調達を急ぎはじめた。世界的に見ても、旅客需要の蒸発から航空業界は事実上の休業状態に陥り、先行き不安は増している。
一方、先が読めないため金融機関や市場参加者のリスク許容度は低下している。国内の社債市場では大手企業の債券発行が見送られるケースも出はじめた。