歴代の総理をはじめ、その時代を象徴する人たちにインタビューしているから、資料として残すべきだという意見もあるでしょう。でも、僕のメモは、情報を整理してどこかにストックしておくためのものではなく、アウトプットのためのメモ。だから使い終われば捨ててかまわない。

かばん代わりの封筒にもメモる

ノートを使わずにコピー用紙を使うのも、捨てやすいからです。僕はもう20年以上前から、かばんを持つことをやめました。かばんは重いし、なくすと大変です。代わりに使っているのは、コピー用紙がちょうど入る大きさの茶封筒。これなら身軽で、使い捨てできていい。茶封筒の中も同じ。コピー用紙なら軽いし、なくしても困りません。

かばんも兼ねる封筒メモ●かばんを持たない田原氏にとっては封筒がかばん代わりだ。封筒が破れて使えなくなる前に、メモで表面が埋まってしまうのが常。約2週間ほどで新しいものに替えるそうだ。
かばんも兼ねる封筒メモ●かばんを持たない田原氏にとっては封筒がかばん代わりだ。封筒が破れて使えなくなる前に、メモで表面が埋まってしまうのが常。約2週間ほどで新しいものに替えるそうだ。

茶封筒の中に、新聞を入れて運ぶこともあります。僕は新聞を6紙読んでいます。朝日、毎日、東京、日経、読売、産経です。仕事の合間に時間がありそうな日は、新聞を3紙くらいと本を突っ込んでいく。たまにあんパンが入っていることもあるかな(笑)。

「ハイテックポイントV7グリップ」●水性インクのボールペンで、とても軽い。田原氏は30年近くパイロットを愛用している。
「ハイテックポイントV7グリップ」●水性インクのボールペンで、とても軽い。田原氏は30年近くパイロットを愛用している。

新聞で気になる記事があれば、切り抜かないでそのまま一枚引き抜いて持ち運びます。重要なところは、丸で囲って見やすくします。使い終わったら捨てますから、わざわざ切り抜くのは面倒くさい。基本的に怠け者なんです。

新聞以外だと、テレビの報道番組もニュースソースの1つです。よく見るのは、『NEWS23』と『報道ステーション』。BSフジやBS日テレもチェックします。NHKは、残念ながら時間が合いません。僕はインターネットの時代こそフェイス・トゥ・フェイスで話すことが大事だと思っています。だから日中や夜はだいたい人と会うことに時間を費やす。平均すると、一日4組は会います。それが終わって帰ってくると、NHKのニュースはもう終わっていることがほとんどです。

人と会って気になった情報があれば、茶封筒に書いてしまいます。人の連絡先なども、ひとまずは茶封筒です。茶封筒は1~2週間でボロボロになるから、茶封筒と一緒に捨ててしまうと困る情報は手帳に書き写します。

手帳は、潮出版社の「文化手帖」を使っています。文化手帖には、作家や評論家、各種団体、出版社、学会などの連絡先が載ってます。僕は自分で電話をかけてアポを取るから、とても便利です。

「文化手帖」●手帳は、潮出版社の「文化手帖」を毎年愛用している。新調するたびに連絡先を手で書き写しているという。
「文化手帖」●手帳は、潮出版社の「文化手帖」を毎年愛用している。新調するたびに連絡先を手で書き写しているという。

手帳はスケジュールと連絡先の管理が中心です。メモは「来週あの人に会うから、こんなことを聞こう」と思いついたときに、忘れないようにスケジュールの横に書くくらいです。

ちなみに僕は財布を持たない主義。代わりに何でも手帳に挟みます。たとえばクレジットカードや家のカードキーも手帳の中。一回どこかに置き忘れたときは、冷や汗をかきました(笑)。

普段の持ち物は茶封筒とコピー用紙、手帳、それに携帯電話だけです。フットワーク軽く動くためには、できるだけ身軽なほうがいい。そのとき目に入ったものにパッと書ければ十分だと思います。

(文=村上 敬 撮影=相澤 正)
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