安倍晋三首相は4月7日、東京、大阪、福岡など1都7県に「緊急事態宣言」を発令した。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ措置だが、これが効果を発揮しなかったとき、次にどんな手を打つのか。そのための議論はなされているのか——。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言発令から一夜明け、記者団の質問に答える安倍晋三首相(右)=2020年4月8日、首相官邸
写真=時事通信フォト
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言発令から一夜明け、記者団の質問に答える安倍晋三首相(右)=2020年4月8日、首相官邸

吉村大阪府知事が非公表の感染予測を公表した訳

3月の3連休を挟んで東京、大阪など大都市に緊張感が走った。“コロナ疲れ”で気が緩んだ隙をつくように、新型コロナウイルスが急拡大しそうな様相を強めたのである。

この時、大阪府と兵庫県は敏感に反応した。吉村洋文大阪府知事と井戸敏三兵庫県知事が、連休中の大阪―神戸間の往来自粛を要請したのである。

吉村知事はそれまで非公表だった国の感染予測をあえて公表し、オーバーシュートの可能性を強調した。

この予測は国の専門家で構成するクラスター対策班がまとめたもの。東京都をはじめ主要な大都市には前から手渡されており、逐次更新されている。そこには早急に手を打たないと、大阪で新型コロナの感染者が指数関数的に拡大するとの予測が記されていた。

吉村知事に歩調を合わせて、兵庫県の井戸知事も動いた。3連休に大阪へ行くことを控えるよう、県民に自粛を要請したのである。