実際に中国人と日々働いている複数の日本人ビジネスマンに中国人ビジネスマンの特性について尋ねると、異口同音に指摘するのが、「中国人は結果重視で、プロセス管理や時間管理ができない」ことだ。イベント会社でマネジャーを務める横山俊哉さん(仮名)は「中国人は期限までにやればいいという態度をとることが多い」という。

昨年、中国東北部の都市で開催された日本文化を紹介するイベントの仕事を請け負い、横山さんは音響や照明など会場の設営を担当した。ところが開催日の前日、現場に足を運んだ横山さんは驚いた。電気のブレーカーが焼き切れていて、とても開催できるような状況ではなかったのだ。「中国人の部下は数日前に現地に入っていて状況がわかっていた。それなのに放置したまま。開催時間に間に合えばいいと涼しい顔をしていた」と横山さんは憤る。

結局、コンクリートの壁を壊して電気の配線を組み直すなどして、翌日の開催時間の5分前に修理を終えることができた。「ほうら、ちゃんとできたじゃないですか」と胸を張って話す部下に対して横山さんは返す言葉がなかった。努力してよくしていこうという意識とはほど遠い、行き当たりばったりの仕事をしている部下の姿を見ていると、寂しい気持ちに襲われた。

また、中国では始業時間に10分や15分遅刻してくるのは当たり前。それを咎めても、「交通渋滞でバスが遅れた」などと言い訳されるのがオチ。中国現地企業との合弁で設立した関連会社に出向している商社マンの宮島和夫さん(仮名)は、「中国では一度敗者になると這い上がるのが難しい。だから絶対に非を認めないのでは」という。

宮島さんが2年前に北京に赴任して最初に驚いたのが、定時になると全員が一斉に退社することだった。仕事が残っていようがお構いなし。部下の仕事ぶりを見ていると、月曜から金曜日まで、最初の3日間は仕事を流し、残りの2日間でやっつけ仕事をしているように思えた。そうした様子を漫然と眺めている中国人上司のプロセス管理の甘さにも強い違和感を覚えた。

さらに、宮島さんを驚かせることがあった。残業をしていたら、「残業をしているのは、昼間の仕事の段取りが悪いからだと思われる。君に対する評価が厳しくなるから注意したほうがいい」と、同じ日本人の先輩社員から忠告を受けたのだ。納得のいかない宮島さんだったが、それからというもの、残業をする際には事前に上司の了解をとるようになった。