新型コロナウイルスの感染拡大で、世界中でマスク姿の人が増えている。しかしトランプ米大統領など、欧米では「マスクはしない」という人が依然として多い。英国在住24年の社会学者・堀井光俊さんは「ようやくマスク姿の英国人を見かけるようになったが、まだ少数派。その背景には欧米の独特の文化がある」という——。
マスクを着用して歩く人々。ロンドンの中心、バッキンガム宮殿付近にて=2020年3月15日
写真=AFP/時事通信フォト
マスクを着用して歩く人々。ロンドンの中心、バッキンガム宮殿付近にて=2020年3月15日

口と鼻を隠すのを非常に嫌がるイギリス人

新型コロナウイルスの感染が世界各地に広がっています。3月終わりごろから、イギリスでもマスクを着けた人を見かけるようになりました。その数はチラホラといった程度。現時点でも少数派ではありますが、私はその光景に非常に驚いています。

なぜなら、私はイギリスで20年以上生活していますが、公衆の場でイギリス人がマスクを着けているのを一度も目にしたことがなかったからです。

日本で主流の不織布サージカルマスクは見かけることはなく、工業用の防塵ぼうじんマスクが主流です。おそらく日曜大工用に購入したものを使いまわしているといった感じ。日本で一般的なマスクに比べとても高価なものです。

大部分のイギリス人は顔の一部、特に口と鼻を隠すのを非常に嫌がります。しかし、どの部分も絶対に隠さないかと言ったら、そうではありません。多くの人がサングラスをかけますので、目を隠すのはオーケーなようです。これは欧米に共通する習慣と言えるでしょう。