これはもう捨てては置けないと、今の状況に心を痛め、療養中の体に鞭打って声を上げる。日本に笑顔を取り戻すために。

私は原発の資金で建てられた、敦賀にある女子短大の学長を務めたことがあります。そのとき、原発を見せてくださいとお願いしたら、関係者が一様に嫌がりました。話をつけてなんとか見にいったのですが、中がお粗末なつくりであることに驚き、案内人が仕組みを説明できないことに不安を感じました。今回の震災も関係者の会見を見ていて、同じ気持ちになります。普段使わない専門用語で「大丈夫」と言われても素直に頷けないし、言ってることがどんどん変わってくるので、何かを隠しているように見えてしまう。

原発は風向きひとつ変われば、放射線が東京にも届きます。特に心配なのが子供です。私が生活している京都の「寂庵」にも、東京から逃げてきて「泊めてくれないか」という家族が何組も訪れました。赤ん坊を抱いたり、小さい子を連れたりしている彼らに「住むところはあるの?」と聞いたら、「ないけれどじっとしていられないから、とにかく逃げてきた」と言います。

(構成=鈴木 工 撮影=若杉憲司)