今年4月、東京・原宿にオープンした米国発ファッションブランド・フォーエバー21。流行最先端のLAセレブ風ファッションが「全身コーディネートしても1万円以下」という低価格で手に入ることが最大の魅力で、原宿店のオープン初日は開店前から1000人を超える行列ができた。

近年、スウェーデン発のH&Mなど、最先端の流行を廉価で提供するファッションブランドが次々に日本に上陸している。これらは「ファストフード」になぞらえて「ファストファッション」(fast fashion)と呼ばれている。スペイン・ZARAや米・GAP、国産ブランドでは、ユニクロやしまむらなどもこれに含まれる。国内勢でも、丸井は今年2月、ファストファッションに特化した館「新宿マルイ カレン」をオープン。ユニクロの新業態であるコンセプトショップなどが登場した。

ファッションジャーナリストの宮田理江氏は、「品揃えが単品買いしやすい構成になっており、ミックステースト(値段やブランドの異なる様々なアイテムを混ぜてコーディネートすること)のパーツとして組み合わせやすいから」と人気の理由を分析する。不景気で全身を高級ブランドで固められなくなり、低価格の商品をパーツ使いせざるをえなくなったからというわけだ。

H&MやZARAは売上高1兆円を超えるグローバル企業。ファーストリテイリングの売上高が約6000億円であることから考えても、国内勢との規模の差は歴然だ。年内には、米・アバクロンビー・アンド・フィッチが日本初出店の予定であり、黒船来襲に国産ブランドは戦々恐々としている。