なぜ裏切ってしまったのか

しかし、この1年の間に、光秀の心に何が生まれたのだろうか。信長に対する疑心暗鬼の思いが芽生えたのはなぜなのだろうか。

野村克也『野村克也、明智光秀を語る』(プレジデント社)
野村克也『野村克也、明智光秀を語る』(プレジデント社)

織田軍が武田勝頼を天目山の戦いで滅ぼしたことで天下統一へ大きく前進した、その勝利の宴が開かれた。

その宴で光秀は、「上様、我らも年来骨を折り、ご奉公した甲斐がござった」と言った。普通であれば、「光秀の申す通りじゃ」と信長が答えて終わりというところだが、信長は「何、光秀。こやつ、いつどこで骨を折ったと申すのじゃ」と激しく怒り、厳しい折檻を与えた。この出来事が光秀の信長に対する心境を大きく変えるきっかけになったと言われる。

最後には、誰もが知るところの「本能寺の変」を起こして謀反、敗北という形で己の生命を終えた。その心の有り様から考えると、私たちもまた、光秀になる可能性を持ち合わせている。そんな思いから、「人は皆、明智光秀である」と、私は書いたのである。

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