格差の拡大が叫ばれる日本。不景気が長期化し、給料の絶対額も減少気味だ。しかし日本を世界の国々と比べたらまったく違った姿が見えてきた。

東京の平均は年収349万円

ビックマックは世界一「安く」、米は「高い」国ニッポン
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ビックマックは世界一「安く」、米は「高い」国ニッポン

日本人の平均賃金は、世界的に見てどのくらいの水準にあるのだろうか。スイスの大手金融機関であるUBSが作成・公表している調査レポート「Prices and Earnings」には、世界主要都市の平均賃金や物価水準などが掲載されている。その2009年版によると、東京の平均賃金は、年収ベースで349万円。この数字自体は、その他の海外の主要都市に比べて、それほどそん色はない。

ちなみに、トップはスイスのチューリヒで517万円、以下、デンマークのコペンハーゲンが489万円、スイスのジュネーブが481万円、アメリカのニューヨークが459万円と続く。年収ベースで上位20位に入っている都市は、アジアでは東京のみ。それ以外は米国が2都市、欧州が15都市、オーストラリア、カナダが1都市となっている。

尖閣諸島問題などで最近、何かと話題にのぼる中国は、北京の平均年収が61万円だ。最近は、GDPで中国に抜かれたとか、液晶テレビで韓国に負けたとか、不景気な話ばかりが続く日本経済だが、まだまだどうして、先進国としての地盤はしっかりしていると考えてもいいだろう。

ただ、本当に生活しやすいかどうかは、賃金の水準だけで推し量ることはできない。やはり物価水準との比較が大事だ。年収500万円で、1年間の生活にかかる食費、被服費、居住費などのコストが450万円であるのと、年収300万円で、1年間にかかる生活コストが100万円であるのとでは、断然、後者のほうが生活しやすい。つまり、少なくともお金の面で見た生活のしやすさは、賃金だけでなく、物価水準も併せて考える必要がある。