最善の治療を受けるには、医師にどう話せばいいのか。総合内科医の尾藤誠司氏は「時間軸に沿って順序よく語ることが重要だ。相手が医師だからといって気負ったり緊張したりせず、自分の身に起きたことを『ちょっと聞いてよ』と友達に伝えるようなつもりで話すのがいい」という――。

※本稿は、尾藤誠司『医者のトリセツ 最善の治療を受けるための20の心得』(世界文化社)の一部を再編集したものです。

作業アジア医師
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「どうしましたか?」で、医師が真っ先に知りたいこと

医師と患者が診断と治療という目的に向かって進む、最初の共同作業が初診。しかし初対面同士、互いに話がかみ合わないもどかしさや意思疎通の難しさを感じることも。「どうしましたか?」に込められた医師の意図を知ることで、初診の精度が上がります。

初診で医師から最初に投げかけられる「どうしましたか?」の質問。一見簡単そうで、実は的確に答えるのが非常に難しく、患者さんが医師との良好なコミュニケーションを図るうえで最初に立ちはだかる壁だといえます。なぜ難しいのか。ズバリ、問診で患者が訴えたいことと医師が知りたいことがズレているからです。

患者さんは「頭が痛くてつらいから早く痛みを取ってほしい」と訴える。医師はその原因を突き止めるために役に立つ情報が欲しい。問診は、医師が病気を診断する目的で行う患者さんへのインタビューです。「どうしましたか?」には、「さまざまな可能性を絞り込む判断材料が欲しいので、あなたの体に起きていることを教えてください」という意味が込められているのです。