ゼロからイチを作るのが創造性の根源
子どもの創造性を育むには何をしたらよいのでしょう? それは、実際に、子どもに何かを新しく創りあげさせることです。
子ども用のプログラミング言語スクラッチを開発したマサチューセッツ工科大学(MIT)のミッチェル・レズニック教授は「創作することで、創造的な思考者として成長する機会を得ることができるのです。結局のところ、創作が創造性の根源なのです」と語っています。
完成された玩具で遊ぶだけでなく、ブロックを自分で組み立ててオリジナルな基地や乗り物、町をつくる。公園の砂場で泥や砂、木の棒や落ち葉を使って自分の作品を創作する。絵本を読むだけでなく、自分でオリジナルな絵本をつくってみる。シンプルで素朴な道具を用いて、自分の頭と手でゼロから何かを生み出すことの喜びや工夫を経験することが大切です。
私は最近、『そうゾウくんとえほんづくり』(KADOKAWA)という、児童向けのワークブックをつくりました。子どもが一つ一つワークに取り組み創作していくことで、最後にはオリジナル絵本を完成させられるというワークブックです。絵本は読むものとばかり思っているかもしれませんが、むしろ自分でつくってみるという逆転の発想を体験してもらい、好奇心や創造性を伸ばす楽しいツールを提供したいという想いからつくりました。用意されたワークを重ねていけば、就学前後くらいの年齢でも、絵本づくりという創造性をたくさん刺激する創作活動に挑戦できます。
コラボレーションは親子関係が原体験になる
最後にコラボレーションです。コラボレーションは単に人と人が仲良くするだけにとどまるものではありません。異なるもの同士を組み合わせたり、強みと強みを掛け合わせたりすることで相乗効果を生み出し、新たな価値を生み出すことです。そこで、「遊び」と「創作」という先の二つに「仲間」を加えます。
人は一緒に遊ぶことで仲良くなり、信頼関係を構築し、さらにその人の強みを知ることができます。互いの強みを活かしあい、自分一人ではできなかったことを協力して成し遂げようとします。また、共通のものを一緒に創作したり、見せ合って共有したりすることで、お互いに刺激を受け、学び合い、新たなものが生み出されます。
コラボレーションする仲間は、幼少期の頃は、友だちだけでなく兄弟姉妹や親子の関係も重要です。むしろ、親子関係はコラボレーションの原体験ともなります。親が子どもと一緒になって世界に対して絶え間なき好奇心をもって楽しみながら遊び、創作し、創造の仲間となることで、子どもの3つの「C」(好奇心・創造性・コラボレーション)を育むことができるでしょう。