自由連想タスクで「観察者としての自己」をつかむ

観察者としての自己(自分の体験のフィールド全体を観察すること)を経験するには、「自由連想タスク」という練習が有効です。

自由連想タスク
——思考を見ること=私的出来事と観察者としての自己
・今から少し時間を取って、普段良く使う言葉のリストを読み上げていきます。
・その際に、あなたの心はそれぞれの言葉に反応して色々と動くと思いますが、好きなようにさせておいて下さい。ここでは、心の反応を意識的にコントロールしようとしないことが重要です。心のなかで起きる出来事に、受身的に気づくようにだけしてみて下さい。
・そうすると、ほとんど何も浮かんでこないこともありますし、映像やイメージが浮かんでくることもあれば、気持ちや感覚の動きまで感じられることもあります。
・それでは、これから普段よく使う言葉を、一つずつ読み上げてみます:みかん、鉛筆、テーブル、虎、木、ガラス、そよ風、銅像……。自分の心を眺めてみたとき、何が起こりましたか。
(Wells A, 2009)

これは、思考を見ると同時に、思考が浮かんでくるフィールドも合わせて感じるようにするという練習です。実践をしてみると、勝手に心は動き、それを私たちは観察することができます。言葉を読み上げていくと、1つ聞くごとに何かが動いて、それを観察できます。

立ち止まって悪いパターンから抜け出す

マインドフルネス瞑想の戦略の基本は、自分の今この瞬間のありのままの体験に気づき、「待てよ、今、私は怒っている。このまま怒り続けていいのだろうか」などと立ち止まって、いつもの反応を止めることで、うまくいかないパターンから抜け出すということです。

熊野宏昭『実践! マインドフルネスDVD』(サンガ)
熊野宏昭『実践! マインドフルネスDVD』(サンガ)

今この瞬間の体験を見つめ続けると、どこかでピークに達します。ピークに達して下がっていくところまで見ると、過去の経験によって形成されたうまくいかない反応パターンに入り込まず、立ち止まって抜け出すことができるようになります。そのとき「自分」は、もう小さく小さくなって「世界とつながった自分」になっていますから、世界が目指す方向性に沿って、次の行動を選べるようになります。

どう生きていいかわからないような今の世界を生き抜いていくためにも、出来事の全体を感じて、よりよい行動を選べる能力を高めていくことは大切です。その能力が、マインドフルネスによって身についていくのです。

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