長いトンネルの出口が見えない。新卒・中途を問わず雇用情勢は厳しいままだ。「社会人になったら」「今の会社にしがみついたら」一生でいくら稼げるか、試算の結果は……。

国税庁が2010年9月に発表した「2009年度分 民間給与実態統計調査」によると、サラリーマンの2009年1年間の平均給与は、前年比23万7000円減の405万9000円(平均年齢44.4歳、平均勤続年数11.4年)となった。

調査が始まった1949年以来、下落額、下落率ともに過去最大で、平均給与が最高だった97年の467万3000円と比べると、年収は61万円以上も下がった計算となるのだ。リーマンショック以降、日本経済に影を落としたマイナスのスパイラルは、私たち給与所得者を直撃しているといえるのだろう。

となれば、生涯賃金も年々先細るのは自明の理。プレジデント誌は全上場企業を対象に生涯賃金を調査した。公表されている有価証券報告書を基に平均年収、平均年齢を勘案し、業種ごとの賃金カーブを参考にして算出したものだ。

生涯賃金ベスト企業40ランキング
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生涯賃金ベスト企業40ランキング

栄枯盛衰――。数年前まで生涯賃金上位を占めていた不動産投資ファンドや投資顧問企業はすっかり姿を消し、代わってトップに躍り出たのがスクウェア・エニックス・ホールディングスだ。ゲームソフト制作・開発および出版社などのグループ各社を統括する持ち株会社で、傘下企業には、RPG(ロールプレーイングゲーム)で大ヒットした「ドラゴンクエスト」「ファイナルファンタジー」といったシリーズを生みだしてきたゲーム会社がある。ちなみにワーストは警備業のトスネットで8407万円だから、その差は実に7倍だ。

2位のアストマックスは、投資顧問事業やディーリング事業を手がける企業で、92年に商品取引会社の関連会社として設立後、96年独立系の商品投資顧問会社となり、02年には証券投資顧問事業にも参入。以来、吸収合併などで急成長し、2009年は株式譲渡で資産を増やした。

3位には計測器などの製造・販売を行っているキーエンス。高額報酬で知られ、生涯賃金ランキングでは常連となった感がある。軒並み、製造業が苦境にあえぐ中、高品質、高サービスで企業価値を維持し、高報酬を堅持している同社は特筆に値するだろう。

また、高給職種として知られる総合商社も健在。住友商事を筆頭に、三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、丸紅はいずれも平均年収が1000万円を超えている。

ところで、1位のスクウェア・エニックス・ホールディングスで生涯賃金は6億円、3位以下は4億円台がずらりと並ぶ状況となっている。数年前まで、上位3社は8億円、6億円といった、破格ともいえる高報酬企業が顔を揃えていたが、次第に低い水準になってきたかのようだ。理由について、国税庁関係者はこう語る。

「給与所得が高かった団塊世代の退職などの影響も考えられるのではないでしょうか」

逆ピラミッド型と呼ばれたいびつな社員構成が、定年退職などで徐々に正常なピラミッド型になってきたというのだ。しかし、冒頭の給与調査で示されたように、日本経済全体の低迷の影響は計り知れない。

たとえば、高額所得で知られるテレビ業界も例外ではない。