仮に家族4人の生活費を月25万円、年間の予備費が100万円、住宅ローンの返済を月14万円とする。私立小学校の学費が子ども2人で年間300万円、さらに老後資金のため年100万円を貯金すると、年間約970万円。つまり世帯年収が1000万円あればギリギリ夢はかなう。正社員の夫が副業をするという手もあるが、600万円という高い年収をもらっている状況からして、これ以上仕事を増やすのは難しいだろう。ではどうするか? 世帯年収1000万円を達成するカギは、ズバリ「妻の収入アップ」だ。
「奥さんはフラワーデザイナーということですが、自営業で収入をアップさせるのは、すぐには難しいと思います。会社に就職し、正社員になるのが一番だと思います。ただ、趣味を生かしたフラワーデザイナーの仕事を辞めてしまうのはもったいないので、週末の副業にして、無理のない範囲で続けていくことを考えてみてください」
金利差0.5%以上なら住宅ローン見直しも
では、支出カットは可能か。「本当は、家を買う前に子どもの教育費と住宅、どちらを優先するか、夫婦で相談しておくべきでした」と飯村氏。一般に手取り月収に占める住宅ローン返済額は25%が理想とされるが、それでも受験を控える世帯には負担のはず。まだまだ低金利が続くこのご時世、可能ならば住宅ローンの借り換えを検討したい。
「借り換えたほうが得になる目安は、①金利差が0.5%以上で、②残債が1000万円以上あり、③完済まで15年以上残っていることです」
借り換えの諸費用を数十万円支払ったとしても、月々の負担が数万円軽くなると思えば、検討する価値はある。最近では30代でもリストラや希望退職の対象となり、転職を余儀なくされる人も増えてきた。銀行から融資を受けやすい在職中に、借り換えを検討するのは賢い選択だ。また、新築で買って数年しか住んでいないマンションなら、金融機関が気にする建物の耐用年数の面でも有利だ。
ただちに収入をアップできる見込みがないなら、教育プランを見直すのが現実的だろう。目標を私立小学受験から中学受験に切り替えると、塾などお受験費用の支出が始まるまで間があき、妻の稼ぐ力を底上げするだけの時間的余裕が生まれる。もちろん「私立は諦め、ずっと公立にする」ということに落ち着けば話は早い。公立なら、年間の教育費は子ども1人につき30万~40万円程度に収まる。大学費用の積み立ても始められそうだ。児童手当をプールするだけで200万円以上貯まる。さらに預貯金よりも利率がいい学資保険などで上乗せするとよいだろう。
「夫の終身保険を学資保険代わりにする方法もあります。例えば『低解約返戻金型終身保険』なら、保険料を払い込んでいる間は返戻金が少ないのですが、その分保険料を抑えることができます。これを大学に進学する頃に返戻率が高くなるように設定する。別の方法で教育費が貯まっていれば、そのまま預けておくこともできます」
終身保険は、死亡保障・高度障害保障が一生続くという商品だ。親に何かあったときに子どもに保険金を残せるという安心感もある。検討してもいいかもしれない。