スープカレー専門店の多くが影響を受けたお店

スープカレーが誕生したのは1970年初頭。「薬膳カリィ本舗 アジャンタ」がメニューとして提供したスープ状のカレーが第1号だといわれています。

ただ、その頃にはスープカレーという名称はなく、「薬膳カレー」や「スリランカカレー」など、それぞれの店によって名称は異なっていました。“スープカレー”という名称をつけたのは、前述した「マジックスパイス」です。

ちなみにスープカレーを生み出した「アジャンタ」は、もともと1971年に喫茶店として営業していました。常連客に提供していた薬膳カリィが話題となったことを受け、1976年に「薬膳カリィ本舗 アジャンタ」として営業を開始するのです。

薬膳カリィは豊富なスパイスを使って、おいしさと健康の両方を追求。現在あるスープカレーの専門店の多くが「アジャンタ」の影響を受けています。

画像=『カレーの世界史』

ラーメンのように、各店がスープを開発

ところで、スープカレーとは具体的にはどんなものなのでしょうか。名前の通り、スープ状のカレーだということはわかりますが、通常のカレーとはどう違うのか?

一番の違いは、初めに鶏ガラや野菜などから出汁を取ること。これは通常のカレーにはない工程です。まるでラーメンのように、それぞれの店が独自のスープを開発し、さまざまなスパイスを調合することで、深みのある味をつくりだしているのです。

また、スープカレーのもう1つの特徴は、ゴロゴロとした具材。大きくカットされたニンジンやジャガイモなどの野菜にレッグチキンが入るのが一般的です。通常のカレーでは、具材とソースは一緒に煮込まれますが、スープカレーの場合、具材とスープは別々に火にかけられます。両者は別々に調理され、最終的に具材をトッピングするという流れになります。

通常のカレーは時間を置くと具材にも味がしみこんでおいしくなりますが、スープカレーは別々に調理するため、できたてが一番おいしいのです。