※本稿は「PRESIDENT」誌2020年1月17日号の記事の一部を抜粋したものです。
ポイントは1ドル=105円
競争が激しい小売業界の中で、32期連続増収増益という驚異の成長を続けるニトリ。同社の創業者である似鳥昭雄会長は、その成功の秘訣を「逆張り」だと語っている。その行動を支えているのが、経験に裏打ちされた確かな経済予測だ。
はたして似鳥氏は、2020年の日本経済、世界経済をどう見ているのだろうか。
──18年の決算会見で「19年の円相場は年平均で1ドル=100~110円。年末の日経平均株価は2万円前後」と予想されました。19年の経済を振り返ってみて、どのような感想を持たれていますか。
【似鳥】19年は18年に引き続き、為替も株価も大きな変動がほとんどない年でした。19年のドル円の年間レンジは約8円、18年は約10円。16年が約23円だったことを考えると、ここ数年、ドル円の値幅は非常に狭くなってきています。これは大きな変動につながる決め手がなかったということです。20年についても全体的には105円前後の円高傾向になると思います。私の感覚としては、毎年1~2月ごろに日本企業が円を買う時期で円高に動く。そのときポイントになるのが105円を切るかどうかだと考えています。
──日経平均株価についてはいかがでしょう。
【似鳥】日本株は日銀の買い支えによって株高が維持されています。19年の日経平均株価の時価総額は約390兆円。日銀が毎年約6兆円を買い増し、現在約31兆円を間接的に保有しています。つまり、7~8%を日銀が保有している状態にある。本来であれば、19年8月に為替が円高方向に動いた際、日経平均株価は2万円を割り込んでもおかしくなかったと考えています。しかし、日銀の買い支えによって株価が維持されました。DI(景気動向指数)は製造業が6年ぶりのマイナスを記録し、家計のDIもアベノミクス前の水準まで落ち込みました。19年の日経平均株価は高水準で推移しましたが、景況感と比較すると割高であると思います。
ただ、20年の日経平均株価については引き続き日銀の買い支えによって大きな下げはなく、年末には2万2000円を中心に、2万1000~2万3000円の水準に留まるだろうと考えています。もしそれよりも下がるとすれば、アメリカの景気次第ではないでしょうか。