「Cher」というブランドをご存じですか? 多くの人は初耳だろうが、覚えておくといいですよ(上から目線)。それはなぜか。

先日、出版社の宝島社が書店員向けに「印刷工場見学ツアー」を実施した。いわば大人の社会科見学。リムジンカー(6台)で約40名の参加者を印刷所へ送迎した。“人生最初で最後”の体験に書店員は大感激、印刷所近く(板橋区)の住民もリムジンの隊列に目を丸くした。

「『sweet』に初めてブランドアイテムの付録がついたのはいつ?」など、クイズで盛り上がった。

「『sweet』に初めてブランドアイテムの付録がついたのはいつ?」など、クイズで盛り上がった。

書店員らは雑誌の製本過程を見学した後に、シャンパンで喉を潤し、「ドゥ ジョエルロブション」のフルコースランチに舌鼓を打ち、お土産も――。

宝島社はなぜ、こんな接待をしたのか。「諸君!」「MONEY JAPAN」「Esquire」が休刊するなど出版業界が低迷する中、同社発行の女性誌「sweet」は今春、過去最高の刷り部数60万部を記録した(2年前は20万部)。

「急成長の理由」を探るべく、プレジデント誌はこの小さなコラムのために編集次長Kを含む異例の3人取材態勢で密着(リムジンカーには乗れず)。結果、ドル箱雑誌となった大きな鍵が、冒頭のブランドだという事実を掴んだのだ。

「2004年から女性に人気のブランドとコラボして毎号(月刊)、トートバッグなどの付録を付けています。なかでも『Cher』が断トツの人気です」と同社広報。ポイントは、毎号の付録。

「世界経済を救うのは女子の物欲です!」と6月号で見出しを打つだけのことはある。ポーチ、下着、時計、靴下などバリエーションも豊富だ。

「なるほど」とメモをとるプレジデント誌取材班。

「ウチも何か付録付ける?」「爪切り、耳かき、靴べら」「うーん、ウチはリムジンとかじゃなくて記事で勝負だよ」と、収穫があったようなないような。ちなみに「Cher」は「シェル」と読むそうだ(「チャー」じゃない)。