戦国武将に熱く「萌える」女性「レキジョ」が急増中だ。レキジョとは、歴史上の人物、特に戦国武将に強い思いを抱く女たちのことである。歴史小説や歴史漫画を読むだけではない。あるレキジョは、「毎年、川中島の決戦を模した祭りに甲冑を着て参加します」となんともアクティブ。史跡めぐり、特に城めぐりは彼女たちの大好きなイベントなのだ。関ヶ原や大阪城公園にたたずんでは、「ああ、この土地で戦が行われたのだ」と往時に思いをはせるのである。

東京・神田にある「時代屋」には全国からレキジョが集結。鎧甲冑のレンタルサービスなども行っている。

東京・神田にある「時代屋」には全国からレキジョが集結。鎧甲冑のレンタルサービスなども行っている。

さて、そんなレキジョたちが集まる都内の聖地がある。2006年にオープンした歴史小説の専門店「時代屋」である。ここに10代から30代の女性たちが押し寄せるようになったのは「戦国BASARA」というゲームが発売になってからだ。ゲームキャラクターの武将に魅せられた女性が時代屋の門をたたいたのだ。時代屋には歴史グッズも豊富で、「戦国武将ケータイストラップ」「六文銭ミニタオル」、さらには「人斬りペンダント/岡田以蔵」なんてものまでずらり揃っている。

若いレキジョでにぎわう時代屋に、40代以上の歴史小説ファンの男性も顔を出すらしいが、どうもテイストはかみ合わないようだ。同店によると、男性に人気の武将ベスト3は「信長、家康、秀吉」といういわば「勝ち組武将系」なのに、女性たちが「萌える」武将は「石田三成、真田幸村、伊達政宗」など「滅びの美学系」だという。女性は、勝ち負けより、滅びてなお己の信念を貫きとおす生き様に心うたれるのか。そういえば、バブル時代ですら「つまんない男とデートするよりも家に帰って鬼平犯科帳を見ているほうがいいわ」なんていう女性がいたっけ。今のレキジョブームは、信念どころか、年々草食化しまくっている現代日本男子へのアンチテーゼかもしれない。