女子中高生の間で大流行した動画アプリ「TikTok」。どこがウケたのか。電通メディアイノベーションラボ主任研究員の天野彬氏は、「SNSが広まるカギは、ハードルを下げてシェアを活発化させること。その点、TikTokは誰でも手軽に発信できるので、投稿が活性化しやすい」という――。
※本稿は、天野彬『SNS変遷史』(イースト新書)の一部を再編集したものです。
15秒間に「楽しい&びっくり」が詰め込まれている
今、新しいシェアの形式をもたらすものとして注目を集めるのが、15秒動画のショートビデオコミュニティ「TikTok」である。
これはByteDance社が提供するスマホアプリで、みんなで短尺の動画を撮ってシェアする場である。
ダンス、お題アクション、グルメなどに加えて、最近ではコメディタッチ・ネタやお役立ち知識講義などにもジャンルは広がってきているが、人気が出る動画に共通するのは、短い尺に「楽しい&びっくり」が詰め込まれていることだ。
日本版は2017年夏にローンチされ、2018年ごろから注目度が一気に高まっていった。特に、流行にさとく、クラスで人気者キャラの若者から火がつき、マイナビティーンズによる「2018年10代女子が選ぶトレンドランキング」では、流行ったモノ部門の第二位に「TikTok」、流行ったコト部門でも第六位に「トリコダンス」、第七位に「全力○○」と、TikTok関連のキーワードがランクインした。
女子中高生向けのマーケティング支援などを手がけるAMFが発表した「JC・JK流行語大賞2018」でも、アプリ部門第一位はTikTokで、コトバ部門の第四位でもTikToker(TikTok内で発信するインフルエンサー)が選ばれていた。
2018年の4~6月期には、iOSアプリダウンロード数で世界一にもなったことから、欧米のメディアでも高い注目度で採り上げられている。TikTokでユーザーがシェアしたくなる理由として、筆者は3つ挙げたい。