なぜ神戸の復興は遅れたのか──。経済の観点から「震災以後」を知る元日銀神戸支店長に聞いた。
「阪神・淡路大震災に比べて――」。東日本大震災の復興について語られるとき、決まってこの言葉が前置きになっているように感じています。それも、「阪神・淡路大震災のときは復興が早かったのに、なぜ今回はそうできないんだ」という論調がほとんどです。けれども、それは違う。阪神・淡路大震災への対応は失敗続きだった。復興は極めて遅かった。方向も間違っていた。そこから出発する必要があります。
元日本銀行神戸支店長 遠藤勝裕●ときわ総合サービス社長。1945年、山形県生まれ。68年早稲田大学政経学部卒業、日本銀行に入行。90年青森支店長、94年神戸支店長、96年電算情報局長、98年日銀を退職。日本証券代行社長などを経て、現職。
たとえば1995年の震災では、村山富市首相(当時)が、「私有財産に国はカネを出せない」といって、被災者への給付を否定していました。その後、議員立法によって98年に「被災者生活再建支援法」が制定され、自然災害で住宅に被害を受けた世帯に生活必需品や引っ越しの費用が支給されるようになりました。また2007年の法改正では、使途制限が撤廃され、ガレキの撤去や住宅の建設にも支援金が使えるようになりました。状況は改善しているのです。
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