なぜ神戸の復興は遅れたのか──。経済の観点から「震災以後」を知る元日銀神戸支店長に聞いた。

被災地の地域経済は、「景気循環の波」「構造調整の波」「プラスの波」「マイナスの波」という4つの波にさらされています。いま目の前に起きている現象が4つの波のうち何によるものなのか。その見極めが、経済復興の成否を左右することになります。このうち、「景気循環の波」と「構造調整の波」は外部要因です。世界経済の動向や産業構造の変化に対しては、どうしても受け身にならざるをえません。しかし「プラスの波」と「マイナスの波」はコントロールできます。

いま被災地には、「マイナスの波」が押し寄せています。地震や津波によって生産設備が破壊され、多くの人が生活拠点を失いました。さらに観光客などの客足も途絶えています。その半面、「プラスの波」もやってきます。今後、官民ともに復興関連の様々な投資がはじまるからです。