全上場企業の実に74%が年収を下げる非常事態ニッポン。業績悪化のなか平均年収をアップさせたのはわずか「医薬品」業界のみで、サラリーマンの懐は壊滅状態。PRESIDENT誌独自算出のデータで業界別の年収浮沈を検証する。
企業は生き残りへ海外市場を目指す!
リーマンショック以降の大不況がサラリーマンの懐を直撃している。業績に苦しむ企業は定昇ストップ、ボーナスカットを断行、もはやサラリーマンの年収アップは期待できない厳しい現実を見せつけている。
サラリーマンの2009年の1年間の平均給与は405万9000円、前年から23万7000円減少したことが、国税庁の民間給与実態統計調査で判明した。
同様に、上場企業の実に74%が年収を減少させた。上場企業3684社の平均年収は前年と比べ38万円減の622万円。08年秋のリーマンショックを受け、自動車、電機など製造業を中心に業績悪化した企業が、正社員の雇用を守るために翌年(09年)の給料やボーナスを大きく減らしたことが一因だ。
業績悪化に苦しむなか、平均年収を上げた業界はわずか一業界。4万円増で832万円の「医薬品」(会社数53社)だった。前年割れながら、減額幅が小さかったのは3万円減で780万円の「電気・ガス業」(会社数25社)、6万円減で785万円の「鉱業」(会社数7社)、9万円減で619万円の「食品業」(会社数79社)と内需関連が健闘。
唯一、前年を上回った医薬品業界だが、主力医薬品の特許が相次いで切れる「2010年問題」を抱えている。特許切れになると、後発薬メーカーから同じ成分の安価な後発医薬品(ジェネリック医薬品)が発売され、売り上げが落ち込む。大手製薬メーカーは新たな収益源となる新薬を確保するため、研究開発の強化や新たな企業買収の動きを加速させている。