パウエルさんの本に特に助けられたのが、2015年の平和安全法制の国会審議のとき。このときの審議時間は200時間以上にわたり、参議院で最後に大揉めに揉めた。私も「これはもう無理じゃないかな」との気持ちがよぎった際に思い出したのが、彼の13カ条のルールのひとつである「なにごとも思うほどには悪くない。翌朝には状況が改善しているはずだ」という言葉です。

時には楽観的になってみるもの

時間が経てば状況は変わる、時間が解決してくれるとよく言うじゃないですか。それと同じように、「一晩寝て起きれば状況は変わっているはずだ」と、時に楽観的になってみること、自信を失わず諦めないことが重要だという助言は、やっぱりその通りでしたね。「これで限界」じゃなくて、信じて諦めなければうまくいくんですよ。

私は、世論というのはその時々の感情を大きく反映するものだと思っています。そんな中で本質、理性を見失わず、間違っていないと信じることを自信を持ってやり続ければ、時間経過の中で局面を変えることができると思います。平和安全法制も当時は「徴兵制復活」「戦争法案」とか言われていましたが、今、当時のような批判する人はいませんよね。

前駐日米国大使のウィリアム・ハガティさんとは親交がありましたが、彼は私がこの本を愛読していることを知り、離任直前のある日、パウエルさんの直筆サイン入りの自伝の原書をプレゼントしてくれました。引退後、英語を勉強して、いつか読めたらいいなと思っています。

AFLO/時事通信フォト=写真
(構成=いつか床子 撮影=大沢昭一 写真=AFLO/時事通信フォト)
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