かつては上司や先輩が「おい、昼食いにいくぞ」と誘えば、部下は二つ返事でついてきた。だが最近「いいです」と断る男性も多いとか。

いま20代など若い世代の間で、ランチに自作弁当を持参する弁当男子が増えている。妻の手を煩わせる「愛妻弁当」と違って、男性みずからが手づくりする点がポイント。最大の理由は、昨今の不況を意識した“節約”だ。

保温機能が付いた弁当箱が売れ行き好調。汁がもれにくい合理的なデザインが人気だ。

保温機能が付いた弁当箱が売れ行き好調。汁がもれにくい合理的なデザインが人気だ。

「このところ弁当箱の売り場に、男性客が目に見えて増えました。売り上げは昨年の3割増で推移しています」と話すのは、東急ハンズ池袋店・販売促進担当の木村隆利氏。とくに人気なのが、保温機能が付いた新商品。従来の保温型は機能優先で円筒形がほとんどだったが、最新の商品はビジネスバッグにすっきりおさまる、という。

自動車メーカー勤務のAさん(29歳)は、見た目重視で弁当箱を選んだと胸を張る。「『イケてる』ってインパクトがないと意味がない。オフィスの女性陣に注目されますからね」。

一方、弁当箱が入るビジネスバッグを探していたアパレル勤務のBさん(24歳)は先日、伊勢丹メンズ館(東京・新宿)で理想のバッグを手に入れた。「合コンでバッグからチラッと弁当箱が見えると、『毎日手づくりしてるんですか?』って驚かれます」。

そう、弁当男子は少なからず“女性の目”を意識している。先行き不透明ないま、節約上手な「ケチ男」のほうが、高級レストランで奢る「ゴチ男」よりモテる、と知っているからだ。私が昨秋、独身女性200人に聞いた調査(「モテるおカネのつかい方」)でも、「特売チラシを見てスーパーに行く(男性)」は、「デートは必ず高級レストラン(の男性)」より「よいと思う」女性の割合が、6割も多かった。

あなたも明日から、モテ男を意識して「弁当男子」、してみませんか?

(撮影=早川智哉)