空気の通り道が狭窄している

つまり、いびきをかくということは、空気の通り道が狭窄しているという証拠。本人は無自覚でも、睡眠中に呼吸がしにくい状態にあるということです。人間は眠っているあいだも呼吸をしなければ死んでしまいますから、脳の自律神経系は心拍数を上げたり、血圧を上げたり、呼吸の強さや回数を調整して、肺や脳に送られる酸素の供給量を一定に保つよう、一生懸命に働かざるをえません。

そもそも人間が眠る第一の目的は脳の自律神経系に休養をとってもらうことです。しかし、いびきをかいている限り自律神経系に真の休息は訪れません。

また間の悪いことに、いびきは浅い眠りから深い眠りに切り替わるタイミングで発生するため、せっかく深い眠りに移行しようとしても、いびきのせいで再び浅い眠りに戻ってしまいます。だからいびきをかく人は、たとえ睡眠時間が足りていても熟睡感を得られず、逆に疲労を蓄積させていってしまうのです。つまり、いびきをかいている時点で、すでに質のいい睡眠ではないということになります。

そこで対処法ですが、睡眠時無呼吸症候群と診断された場合は「CPAP(シーパップ)」という酸素マスクのような器具を装着して眠るという治療法があります。圧を加えた空気を鼻から送り込むことで呼吸が楽になります。

もうひとつの方法は、横向きの「シムス体位」で寝ることです。医療器具を装着するよりも手軽で簡単です。

▼いびきをかくことで脳にも体にも疲労蓄積

(構成=長山清子 写真=iStock.com)
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