「合同会社PC1号」と「A弁護士」の謎
そして2017年12月、資金繰りがひっ迫したスキージヤーナルにおいて不穏な動きが生じた。12月4日付で、合同会社PC1号なる法人が債権譲渡登記を設定。一部取引先に対して、内容証明つきで「スキージヤーナルの売掛債権はPC1号が引き継いだ。支払いはPC1号に対して行なうように」との旨が通知されたのだ。この通知を受けた債務者は、「PC1号がどのような会社かわからず、困惑した」という。
また、同月11日には、A弁護士が債務整理の任にあたるという受任通知が出される。
書面には「混乱を避けるために取り立て行為は一切中止願います」といった旨が記載されていたが、同月13日に再びPC1号が債権譲渡登記を設定したことで、周囲がざわついた。「弁護士が債務整理を受任したのちに債権債務を移動していいのか?」(某取引先)という疑念は当然だろう。
さらに、本来であればA弁護士がPC1号の行動を止めるべき立場にもかかわらず、「そうした動きは見られなかった」(複数取引先)という。こうした状況があいまって、一部債権者からは「A弁護士は、PC1号が債権回収する時間を稼ぐために、あえて債務整理の方針決定を遅らせているのでは……」といった推察の声も聞かれた。
社長のまわりに「不当な癒着」があるのではないか
いずれにせよ、会社経営の責任者である社長から具体的な説明はなく、A弁護士からも具体的な指示がなかったとして、従業員や取引先は独自で情報収集を開始した。すると、不思議な事実関係が浮かび上がってきたそうだ。
従業員や取引先が得た情報は、大まかに4点挙げられる。①社長は、渋谷にある某社から資金調達していたらしい、②PC1号はこの某社の債権をもとに債権譲渡を受けたらしい、③社長は、B氏を顧問として迎えていた、④このB氏は偽名を使っており、実は破産法違反の容疑で逮捕歴のあるC氏である可能性がある。
こうした情報をもとに周辺情報をかき集め、事実関係の整理を進めると、各々の断片的な情報が、特定住所や人物、取引関係でつながっていった。取引先や従業員のあずかり知らぬところで、社長近辺で不当な癒着があるという図式が描き出されたのだ。
「1つの人脈におけるグループが共謀し、債権者への支払いを不当にストップし、資金を流失させているのでは……」との疑念が周囲に広がった。