授業で習ったことを生活の中で意識する癖を

また今年、センター試験ではこんな問題が出題されました。これも、「日常生活」に立脚した問題です。

センター試験で出題された問題より

「喫茶店がどこに多いか」「牛乳処理場の立地の特徴はどんなものか」という問題なわけですが、これは参考書や問題集にはほとんど載っていません。しかし、「日常生活」と結び付ければ、この問題は簡単に解くことができます。

例えば、東京にお住まいの皆さんは、いつも飲む牛乳がどの県で作られている場合が多いか知っていますか? 「北海道」と答える人が多いかもしれませんが、実は北海道はそこまで多くありません。試しにコンビニやスーパーで牛乳の生産地を確認してみてください。東京で売られている牛乳の多くは、北関東で作られている場合が多いです。群馬・栃木・茨城県の割合が多いのです。

多くの人は、「北関東」と「牛乳」というのはイメージが結び付かないことでしょう。しかしこれは、小学生で習う「ある知識」があると納得できます。

「近郊農業」または「都市農業」という言葉を覚えていますか? これは、大消費地である都市の近くで農業を行うことで、鮮度を保ったまま出荷する、という農業形態です。

牛乳って、賞味期限が結構短いですよね。賞味期限切れの牛乳を飲むとおなかが痛くなってしまいます。北海道から東京に牛乳を輸送すると、時間がかかるので、賞味期限がどうしても短くなってしまいます。そのため、東京に近い北関東で作られる場合が多いのです。

そう考えて問題を見てみると、北関東の●が大きいのはイだけです。イが牛乳処理場・乳製品工場だとわかります。

コメダ珈琲店が入試を解くヒントに

また、喫茶店はどこの地域に多いと思いますか? これも日常と結び付ければ簡単です。みなさんは「小倉トースト」を聞いたことはありますか? 名古屋のご当地飯で、食パンに小倉あんをのせたおいしい軽食です。

それから、コメダ珈琲店は知っていますか? 名古屋発の喫茶店で、全国にチェーンがあります。コメダ珈琲店のモーニングセットが好きだという方も多いのではないでしょうか。愛知県というのは、このように喫茶店産業が盛んな地域なのです。

また、当たり前のことですが、喫茶店というのはお客さんがいないと成り立ちません。人口が少ない地域よりも、人口の多い地域の方が喫茶店が繁盛する傾向にあります。以上を踏まえて問題を見てみると、愛知県を始め東京や大阪の●が大きいのはウだとわかります。

いかがでしょうか。「都市近郊では近郊農業が盛んである」とか「小売業は人口規模に比例する」とか、そういった知識は教科書にも載っています。しかしそれを日常生活と結び付けたときに答えられるのか? いつも飲んでいる牛乳と、小倉トーストを、知識と結び付けられるのか? この問題では、日常生活と教科書の知識をつなげる思考力を問うものだったと言えるのではないでしょうか。