低価格帯の店も「居心地の良さ」が重要になった

好調なスタバとコメダに共通しているのが「居心地の良さ」だ。スタバは積極的な改装を実施するなどして、常におしゃれな空間を保ち続けている。コメダはふかふかのソファを設置し、新規店舗では全面禁煙を原則とするなど、居心地の良い空間を作り出すことに成功している。スタバとコメダはいずれも、業界内では中価格帯に位置する。そのため顧客は、値段に見合った居心地の良さを期待しており、そこに応える必要がある。

一方、ブレンドコーヒーSサイズを208円(税込)という低価格で提供するサンマルクに対しては、それほど顧客の期待が高くない。とはいえ、競争の激化やニーズの高まりなどで、低価格帯の店でも居心地の重要性は高まってきている。

サンマルクは、そういったニーズに対応しきれていないように見える。顧客満足度が決して高くないのだ。日本生産性本部・サービス産業生産性協議会の「日本版顧客満足度指数(JCSI)」調査における、カフェ部門の「顧客満足」ランキングで、サンマルクを上位で見かけることはない。

サービス産業生産性協議会「2019年度第1回 JCSI調査結果」より抜粋

19年度第1回調査では、1位が「ドトールコーヒー」、2位が「カフェ・ベローチェ」、3位が「スタバ」、4位が「コメダ」となっている。サンマルクはトップ4に入ることができていない。競合と比べて、サンマルクは顧客からの満足を獲得しきれていないことがわかる。

コスパ以外が評価されないサンマルク

なお、同調査では顧客満足度を含めて6つの指標のランキングを出しているが、コストパフォーマンスを表す「知覚価値」においては、ベローチェ(1位)、ドトール(2位)、ミスタードーナツ(3位)に次ぐ4位にサンマルクは付けている。いずれのチェーンも低価格を武器としており、それがそのまま知覚価値に反映されたといえるだろう。

だが、前述の通り、ドトールとベローチェは顧客満足度でもそれぞれ1位と2位を獲得している。サンマルクは上位4位に食い込めていない。つまり、ドトールとベローチェはコスパ以外の面も評価されて顧客満足度が高くなっているが、サンマルクはコスパ以外の面が評価されていないのだ。