スマホ決済に本腰を入れるセブン-イレブン
さて、スマホ決済は今後どうなっていくのでしょうか。予測としてはおそらくこれから先、3つの変化が起きるはずです。順に説明していきましょう。
① 交通系以外の非接触カード型の電子決済が衰退し、スマホ決済が主流になる
日本の電子決済はこれまで、JR東日本のSuicaに代表される、交通系ICカードによる非接触型の決済が主流でした。これに追随する形で楽天のEdyやセブン-イレブンのnanaco、イオンのWAONといった非接触型の電子マネーが登場してきました。ところが、これからは交通系を除いたカード決済型の電子マネーは、急速にスマホ決済に移行しそうです。
その根拠は2つあります。1つはそもそもこれまで多くのユーザーが複数のカードを持ち歩くことに不満を持っていたこと。スマホ決済はその不満を解消します。
そしてもう1つの根拠は、大手流通自体がスマホ決済に力を入れ始めていることです。その象徴として、セブン&アイが7月から開始するセブンペイが挙げられます。nanacoを廃止するわけでもないのに突然セブンペイが始まるというニュースは、このままスマホ決済が社会に浸透していく可能性が高いことを、セブン&アイが理解している証拠です。
しかもTポイントまで凋落
② Tポイントが窮地に陥る
電子マネーと同時にここまで大きく発展してきたTポイントも、スマホ決済の普及によって大きな影響を受けそうです。
実際、流通・小売業界ではこの1年、小売店のTポイント離れが話題になっています。スマホ決済の台頭と同時に、2つの中心企業がTポイントから離脱しそうなのです。
その1つがヤフーです。この6月からヤフーショッピングやヤフーオークションでペイペイが使えるようになり、これまで付与されてきた期間限定ポイントが、Tポイントではなくペイペイで付与されるように制度が変わるというのです。
もう1つはファミリーマート。こちらも独自のファミペイを導入することになっています。これまでTポイントを支えてきた中核企業が独自サービスに移行することで、業界の垣根を超えてさまざまな小売店で使えるTポイントの基本構造が揺らぐことになります。
実はTポイントの一番の存在価値は、さまざまな業界を横断して消費者がどのように消費行動をしているのか、ビッグデータから消費分析を行うことにありました。ところが、このビッグデータの世界でTポイントが後退するというのは大きな変化です。