「このままいったら日本はあと2~3年もたないですよ。最も心配しているのが財政の破綻です」と語るのは日本創新党党首の山田宏氏だ。
杉並区長を11年間務めてきた経験から感じ取ったものだ。同区は行財政改革を徹底的に行ってきた。いわゆる「杉並改革」と呼ばれるものである。その結果、942億円あった借金は半分以下に。区長就任以来、自身の給与の1割、賞与の5割を返上するとともに区職員1000人削減計画をつくり700人を超える職員を削減した。実績があるだけに民主党の政策が歯がゆい。
「今年度の予算は37兆円の歳入で44兆円の借金をして92兆円。これは月給37万円の人が毎月44万円の借金をして92万円の生活をしているようなもの。これでは確実に財政破綻に向かっていきます」
杉並では削減できるものはなんでも削った。そのひとつが饅頭。毎年、敬老会でお年寄りに配られていた紅白のお饅頭を出さないことにしたのだ。これが意外にも反響が大きかった。「けしからん」「年寄りいじめだ」「予算が足りないならぶらぶらしている職員をクビにすべきで、饅頭を切ってどうするんだ」といったたくさんの苦情の手紙が寄せられた。この饅頭はまだ復活していない。饅頭は武器にもなった。地元医師会や団体などの補助金を削減する際、「お年寄りは楽しみにしていた饅頭まで返上しているんだ」と説得の切り札にしてきた。決めたら例外を認めずに一気に行う。それが「杉並改革」である。いまの民主党の目線は饅頭とはいわないまでも「改革の気概が見えてこない」という。
国家が破綻するという一大事にどう対処したらいいのか。企業の法人税、所得税の引き下げ、医療、教育、農業分野の規制緩和、国家公務員数の削減などが急務であると指摘する。「国家公務員数を10年間で3分の1ぐらいに減らす必要がありますね。そうなれば地方の仕事を国がやることもなくなってくるので地方分権が進む。地方公務員を減らしていけば杉並がやったように民営化が活発になってくる」。
事業仕分けは民主党のパフォーマンスで、ショーだと断言した。「3兆円仕分けをやると言っていたけれど、実際には1兆円にも届いていない状況ではあまり意味がない」。子ども手当についても、「子育て支援なのか、それとも景気対策なのか、生活支援なのか見えてきません。効果が不透明なおカネの分配はばらまき以外のなにものでもない。自民党も政権最後のときにやっていましたね」。
同党のメンバーは地方公共団体の首長や地方議員が中心。参院選に立候補するため区長を辞任した。記者会見では「杉並改革の成果を国にぶつけていく」と語った。同党の代表幹事は中田宏・前横浜市長、応援団長に河村たかし・現名古屋市長がいる。